July 16, 2013
少し手元の作業が一段落した感があるので、今後のことを考える。今までWebのビジネスは、どちらかと言うとWebのビジネスだけに専念してきた企業がその利益を独占してきたと思うが、今後のWebは、それだけではなく、既存のリアル企業もWebを活用しだす時代になってくると思う。
オンライン証券はもちろん、旅行、ライフネット生命など、もちろん既存産業がオンラインで普及している例があるのだが、リアルビジネスで成功している業種側の視点で言うと、「ようやくガン無視はできなくなってきた」ぐらいの規模だということらしい。
つまり今後は、ネットに力を入れて来なかった大企業が、ネットに本腰を入れてくるようになる。
(というか今までPCでいろいろやってうまく行ってなかった部分が、スマホ+モバイルインターネット普及のおかげで、日常生活にインターネットが繋がることで、インフラとして、うまく行くようになる可能性が高くなる、という感じか)
昨今のテレビのネット連携、リアルタイム投票が突然活用され始めて驚いているが、それを支えるのがAWSを始めとするクラウドと、それを活用する制作会社の存在だと思う。何気にテレビ局系に繋がっているWeb制作会社の中で、クリエイティブ競争が起きているのではないか!?と興味深く見ている。
先日、日テレの土屋さんのお話を大学院で聞いたのだが、そこで出てきた名前が、バスキュール、チームラボ、カヤック、ドワンゴという名前が並んでいた。
テレビと通信の融合という言葉は数年前に語られていたのだが、AWSなどのクラウド環境を持ってして、ようやく動き始めたのではないだろうか。
クリエイティブでバットを振り続ける人たちが、クラウドという別軸での進化と組み合わさって、テレビという最先端な場所で存在感を発揮し始めたことを考えると、多分、クラウドをベースとして、他のいろんなことが瓦解していくことは期待できるだろう。
前に、受託の仕事に携わっていて、こういうことを解決したいと思っていた。
・お客さんの予算ありきで、やるべきことができなくなるのは嫌だ。
・お客さんに魅力を理解してもらうことができずに、やるべきことができなくなるのは嫌だ
・成果物の成否に関係ない(責任を取らない)という仕事の関係性が嫌だ
というのがあった。2つ目は個人的なスキルもあるだろうが、それ以外は、受託のビジネスモデルそのものの制約も大きく関連している。
当時は、まだ明確に言語化出来なかったので、悩みを明確に問題視し、解決できないままに、Webサービスをやる会社に転職してしまったのだが、今考えると、多分、これらが解決していれば制作会社を辞める必要はなかったような気がする。
そもそもバックエンドでの開発者の立場では、お客さんの顔も見ずに仕事をしていた案件も少なくない。制作会社は人月商売なので、自分たちが生きていくために次の旅に進まなくてはならない。お金にならないのに関わり続けるのは、ビジネスとしてご法度とも言える。「手離れが悪い」案件として扱われてしまう。
そういう関わり方で、できる仕事には限りがある。決められた仕様を前提としてソースコードなどに対する責任は持てるが、「あと一歩先」に踏み込むのはビジネスの構造的に難しかった。
そういうところにいると、技術にしか興味が持てなくなるわけだが、前述の理由として当時出始めたAjaxなどを前提とした技術の進化についていけなくなる焦りを感じた。Web2.0の流れにおいては、技術を活用するには、ユーザーと繋がって、データサイロを持つことが大前提だと思ったからであって、その場所から遥かに遠くの場所にいる立場では、技術を生かすこともできないのではないか?!と考えたからである。
当時はそんな糸がぐちゃぐちゃに絡まってしまい、解決法としての転職を考えてペパボの面接を受けたという次第。ちなみに、当時はMOT(技術経営)の大学院にも通おうとして説明会に行ったのもこの頃。何かが行き詰っていたんだと思う。
そもそも制作会社が何故独立した存在でいるのか?!というと、つまるところ、
・自分の好きなことをやりたい。自分の好きな状態でありたい。
という部分もあるだろうが、それ以上にあるのが、
・制作、開発作業がアウトソースされるべき存在だから。
ということだったと思う。お客さんからすると、コストをかけて内製するものではないということ。
しかし、ネットビジネスが、広告宣伝費の枠を超え、事業そのものに組み込まれていくのであれば、外注費の立ち位置は逆転するでしょう。ノウハウを蓄積したいのに外注費としてお金を使うのは得策ではないという判断に変わる可能性は高い。全部のプロセスがそうかはわからないが、少なくとも事業設計に近いレイヤーは。
その流れの中で、制作会社が買収される、もしくはチーム丸ごと引き抜かれる、という流れは今後増えていくのではないだろうか。もちろんWeb関連ビジネスの市場規模が広がることもセットで。
Webは、すごくエレガント、かつ、シンプルな技術である。しかしそうは言っても、セキュリティのことなども考えると、全くの未経験者をアサインして事業を組み立てる時代はとっくに過ぎている。
制作会社のビジネスモデルは、純資産もそんなに高くならない可能性も高く買収にかかる金額のハードルは高くないだろう。
もちろん経営者がサラリーマンになれるのであれば、という前提があるが。
もしかしたらちょっとピュア過ぎる発想なのかもしれない。しかし、そうなることがWebの正常進化のあるべき道だと思っている。
だから、そういう時代の到来を期待していたし、そもそも「想創社」という会社名は、そういう時代に、仕事を楽しめる立場になることを想定していたのだが、まだ、現在の手持ちの材料では、そういう時代に対応できる武器を持っているわけではないのが現実。
まぁそこをどうにかするのが今の課題として活動しているので、最大限努力していこうとは思っているが。まぁいろんな選択肢は柔軟に考えている。少なくとも、社長という立場じゃないと社会人として成立しないタイプの社長とは違うタイプの人間なので、余計にね。。。
と、今後のことを考えていたりするのだが、ちょっと前にはこう考えていましたというのを書かせてもらった、「100万人から教わったウェブサービスの極意―「モバツイ」開発1268日の知恵と視点」という本がkindle版で発売されました。
値段は、夏休み特価として期間限定で320円。一人でも多くの人に読んでいただけたらと、マーケットプレイスで中古本を購入して送料を払うよりも安い値段に設定しています。
イマイマ活用できるアプリのヒットの法則などを扱った本ではありません。Webの歴史やTwitterを見ながら、何故、モバイルだったのか!?などを書いたF's Garageっぽい本でもあります。
藤田さんの本でも文句がついているレビューを見て、気がついたんですが、僕の本も、基本的には、ネットに興味を持ってて、わかろうとしてくれる人にしかわからない系の本だと思いますので、少しでも、ご興味をお持ちいただいた方には、全員、手にとっていただけたらと思って、お求めやすい価格設定にしましたので、是非!