June 13, 2013
「Firefox OSアプリ開発スタートアップマニュアル」という本を献本いただいて、読んでいたのだが、どうにも実機を見ないことにはイメージが湧かないと思って、幕張メッセで6/13〜6/15の間開催されているInteropに行って実物を見てきた。
Mozillaブース
Firefox OSは、プレゼンテーション層がHTML5で作られているモバイルOS。ZipでアーカイブされたHTMLとJavaScriptをインストールし、必要あらばAjaxでネットワーク側のサーバにアクセスする。
つまりアプリ自体がHTML + JavaScriptで作られているので、Webの開発スキルだけでアプリを作ることができる。
ホーム画面。なんとホーム画面もHTML5なんだって。つまり、Webのスキルを活用し、OSをカスタマイズすることで、「GREEスマホ」とか、「Amebaスマホ」が作れてしまうわけ。もっと特化した「株スマホ」とか、「お料理スマホ」とか「電子手帳」「電子辞書」「DMMマーケット」とかいろいろあってもいいと思います。
通常のWebサイトからアプリアイコンにすることもできるらしい。
写真はツイッターのモバイルサイト。
動作速度は、実機がローエンドスペックのスマホらしいのでiPhoneのスムーズさと比較するとかわいそうだけど、Androidスマホのローエンドとならネイティブが相手でも良い勝負になるんじゃないだろうか。
これはカメラ画面。デバイス機能は、JavaScriptからアクセス可能なapiが用意されている。
そしてアプリ切り替え画面。アプリがHTML5でできているので、ある意味、ブラウザのタブ切り替えみたいな感じです。もちろんマルチタスクだそうで、mobile safariとは感覚はすこし違う感覚
■Firefox OSをどう見るか?!
今すぐこれがどうのというものではない。しかし、iOS7がフラットデザインになって、OSが均質化していく流れの中で、スマホとしてのFirefox OSは可能性が出てくるのではないだろうか。
ネイティブアプリがビジネス的優位性を担っている部分は、アプリ性能とマーケットプレイスの制約の問題があって、後者のマーケットプレイスについては、Firefox OSでは解決できる。
性能の問題は、スマホのハードの進化と共に解決されていくだろうし、iOSがフラットデザインになったことで、ぬるぬるアニメーションが本当に優位性なのかが見えてくるだろう。よく言われるのがAndroidとiPhoneを比べるとAndroidアプリの方が明らかにアニメーションの質は劣るが、よくできた高級セダンと、カローラを比較すると、「気にしない人にはどっちもおなじに見える」というのがあるそうで予断は許さない。少なくともマニア意識で考えてはいけない気がする。
また、Webベースのアプリは、どうしてもネイティブアプリだからこそできるアニメーション処理などには限界があるので、そこを頑張って売りにしてはいけないと思う。そういう観点で言うと意味は、今のFirefoxOSは、「そこそこできている」という印象である。実用性はある。
Firefox OSの最大の魅力はアプリマーケットをオリジナルに立てることができるのと、Webの生産性の高さを組み合わせて、オリジナルなマーケットを立てることができる点ではないかと思った。例えばGREEやモバゲーが、ガラケーで作り上げたアプリマーケットが、オリジナルスマホで生きると言った具合。
そういう意味では、Appleのエコシステムに優位点を吸われていくタイプの企業で、Webベースのコミットを公表しているサイバーエージェント社やGREEプラットフォームなどは興味をお持ちなのではないだろうか。今すぐ普及するものではないものの、うまくタイミングがあえば可能性はあるだろう。特に独自マーケットプレイスでチャレンジしたいスタートアップ企業は、数年後にこれらの企業にM&Aされることを意識しながら動いても良いのかもしれない。
僕が思うのは、こういうプラットフォームは純粋に必要だと思った。やっぱりAppleのエコシステムは、制約も大きく自由度はそこそこ。フラットデザイン化でほぼあらゆるアプリがリプレースを余儀なくされることなどを考えると、売れるから従ってるけど、そうでなければ、、、というのは正直あるのではないだろうか?!
フラットデザイン化するiOSがAndroidやWindows8との競争の結果起きたと仮定すると、いずれブラウザアプリも、App storeに乗る日も来るかもしれない。しかし、それは、放おっておいて起きることではなく、現状ネイティブアプリで成功しているマーケットプレイスは、Webベースのサードパーティやアプリマーケットが好評になり、iPhoneのネイティブアプリが下火になりかけてから初めてやることだと思うので、そういう変革のトリガーとしてもFirefox OSは重要なのではないか?!と思った。
つまり、誰も何もしないでアップルに従ってるなら、そのままアップルの優位性は維持されるだろうし、多様性を求めて活動をする人たちが増えれば、変わるということだ。
と長々と書いてしまったが、今のFirefox OSがどうなってるん?と言うのを把握するためのリソースとして、技評さんの電子書籍と、お時間あればInteropで見てくることをオススメしたいです。実際見ればこそ感じる何か?!ってのがあるのではないでしょうか。
僕はこのOSを見て、密かに「ガラケー2.0」すなわち「i-mode 2.0」(w)が再現できるのかもなぁと思ったりしています。やっぱりネットワークアプリについては、ネイティブアプリよりWeb技術の方が作るという面では優れていると思うし。