November 20, 2012
昨日WBSにstores.jpが出ていた。あちゃーと思ったが、stores.jpが支持されている点と、その裏腹にある問題点は以下の2つ
昨日のWBSでちらっと言ってたのが、個人の事業主でやりにくかったところが解決されていると言ってたのですが、実はそれは商売をするにあたって負わなくてはいけない「責任」の部分がスルーできることかなと思いました。
(1)最短2分で作れるネットショップのプロセスに、特定商取引法に基づくの記載がスルーできること。そしてそこに記載されてるstore.jpの会社さんが責任を負っていること。なにせ最短ですからねw
特定商取引法に基づく記載とは、消費者保護の観点から通信販売を行う業者(個人事業主を含む)は、書かなくてはいけない条項のことで、ここに連絡先をかかなくてはいけないので、自宅で商売をしてみたい個人事業主のハードルの一つになっています。
もちろん特商法の記載は書き換えできるのですが、googleでお店を調べてみると結構、stores.jpの社長さんの名前が記載されてるショップが見つかります。
(2)店子が個別にカード決済の契約なしにカード決済が利用できること。
もし詐欺のショップが出てきたらStores.jpの全ショップのカード決済が一発停止食らうリスクを内包しているのではないでしょうか?(間違ってたら教えて下さい)
カード会社は、その辺早いんですよね。
ちなみに、月980円でネットショップを作ることなんてのは、ペパボやおちゃのこネットが提供しているわけです。DeNAにいたってはzerostoreという無料のショッピングカートを提供していますし、ロリポップにも無料のカートがついてます。
そういうところが一切引き合いに出てこないのは、WBSも随分地に落ちたものだなというのが正直な感想なのですが、
ただし、もちろんカード決済には、決済代行の会社と契約が必要です。個人でも契約可能ですが審査があります。責任を持てる人であるかを確認してるわけです。
stores.jpは、ユーザーに本来必要であった責任を回避させることで、stores.jpの会社さんおよび、そのユーザーが責任を共有している構造になっているのですが、それを「責任フリーのイノベーション」と呼んでみます。
一応、ペパボでEC事業に関わってた経験者として、過去の経験と照らしあわせて考えていたんですけど、とりあえず前向きに捉えて、これならアリかな、というのを書いてみたいと思います。
(1)特商法の記載の覚悟ができないショップは商品が売れません。(きっぱり)
だから悪意ある詐欺集団さえ近寄ってこなければ現実的に問題になりえません。そもそもリスクは悪意のあるユーザーが来ても、stores.jpの会社さんだけが負ってるからいいじゃん、という考え方もあります。
そもそもレンタルサーバーでec cube使えば理論上は同じ事できますしね。詐欺集団も結構手が込んでるからなぁ。
特商法の記載のリスクをstores.jp側が負ってる以上、今後有名になっていくと、実際に詐欺が起きた時に、購入者とどう騒動になるのかなぁ?!ということだけが気になります。
(2)お店が知ってる人やお客さんに売るならいいんじゃないの?
うん。これは一応アリ。
信頼がソーシャル側に存在してるケースですね。昨日のWBSでヒルズのお店が沢山売れたって話がありますが、あのユーザーインターフェースはカッコイイけど、ゼロから信頼を積み上げて物が売れるデザインとは思えないので、知ってる人や既存のお客さんに売れたのかな?!と予測します。もしくはソーシャルで友達の友達に売れたというケースもあるでしょう。
このカート、Facebookなどのソーシャルメディアで友達友達認証で売れれば、無敵だと思います。
SEOで集客!とかじゃなくて、ソーシャルベースのショッピングカートであれば、そもそも動線も限られますし、特商法が少々いい加減だからと言って現実的に問題は起きないから良いじゃん、という考え方です。(stores.jpの会社さんが責任を負ってくれることになってるので、という意味です。別に書いてないわけじゃないので)
(3)売れてる店舗は、リスク回避も含めて個別に交渉してカード決済の契約を個別契約に切り離していけばいい。
カード決済そのものを「お試し」と考えれば、確かにこれはアリかも。
上場してるDeNAやペパボは、これは難しいかもしれませんね。でもポイントを利用するなら詐欺が起きてもリスクを自社で負えば良いので、採算があえば実現可能ですよね?!(狙ってやったら無理か?!w)
是非ご検討ください。
ちなみに、GMOグループのイプシロンなどでは、個人でもクレジットカード決済ができる決済サービスはありますので個人でも正しいあり方でネットショップを始めることはできます。
結局のところ、WBSに出たりして有名になった結果詐欺集団に狙われてカード決済が止められて全ショップが悲しい思いをするというケース以外は、あんまり問題にならないかなぁと思いました。そうなったら祭りになるので、売上が大きくなってきた時にはカラーミーとかMakeshopに移っておいた方がいいんじゃないでしょうかね。
おそらくソーシャルベースのアテンションがある店じゃないと売れないと思うので、WBSはあんまり夢を見させちゃダメよとは思いつつなんですけど、既に数千人の店舗が集まってるとのこと。ソーシャルメディアでbuzzってたので、アクティブ率20%と見積もって1500店舗ぐらいは動いてるのかな。
(取り扱い総額が1億円って書いてあったから、平均単価8,000円、店舗あたり平均10商品ぐらいでざっくり計算すると1250店舗、そんなところですかねー。アクセサリーや小物が主力であればもちっと多いかな。ただ取り扱う商品って値付けアテにならんですけどね。)
なかなか華麗なデビューだと思います。
これが「責任フリー」にした結果であれば、プロモーション的にも確かにイノベーションなのかもしれません。
Makersを読んでて、そんなことを思いました。
今後、製造業においてもサービス業においても、「プロの常識」を壊したところに、リスクと裏腹にあるビジネスチャンスがあると思います。その手が取れるかどうかは、その人次第ですが、そういう無茶をやる人が取り上げられる時代なんだなーというのをWBSを見ていて思いました。
stores.jpの会社さんは、Caforeという個人が車の貸し借りをするサービスをやっておられて、売ってるものが車の貸し借りの「独占交渉権」という、まるで、どこのソープだ的な展開を見せてるサービスがあります。
車の貸し借りのビジネスは、レンタカーとして法律で規制されているそうで、そこに引っかからないように「交渉権」を売って、あくまでも個人間の貸し借りの形にするのだそうです。
サービスとしてミニマムな保険を提供しており、最強の保険代理店サービスとしては良いと思いましたが、車って借り手が事故を起こすと、貸主にも責任が及ぶ可能性があったよね、とか思うと、うーむー、それはさすがに大丈夫なのかなーと思いましたが、なんだか凄いアイディアの方だなーと思いますね。
Youtubeみたいなのを作るのはこういう人なのかもしれないですね。
ただ一般論として、現状の「常識」や「責任」が既得権や既存産業の上に存在していることも多々あり、単純に法律に反してるから悪という見方ではなく、全てを疑った上で壊しにかかることもまた重要なことなのかもしれません。時代は変わっていきますからね。