July 23, 2012
ふと、久しぶりに特許が出せそうなアイディアを思いついた。
最も低コストで個人で特許を出すにはどうしたら良いかを考えながら、特許図書館で先行する特許はないかなぁと思って検索したら、既に2003年にサムソンが権利化していたことを見つけた。
もちろん特許に書かれていることは、イマドキの解決する問題ではなく、より下のレイヤーの技術そのものの「方法の特許」として、既に権利化されていた。
「方法の特許」は、「装置、製品の特許」と比べて、適用範囲が大きい。例えば、「水を人工的に作る方法」の特許と、「赤い水を作る装置の特許」は全然意味が違っていて、水を作る特許が、技術的に避けられないエレガントな方法であれば、赤い水だろうが、青い水だろうが、水を作る時に、この特許に抵触する可能性が高い。
それに対して、「赤い水を作る装置」の特許の場合は、そもそも「赤い水」に限定していることから、その赤い水に市場性がなければ特許に価値はないし、もし、その装置が示す必須技術以外の組み合わせで実現できてしまえば、「赤い水」を作っても特許には抵触せず、特許自体はあまり意味が無いものになる。
(むろん色に影響しないなら、「色のついた水の作り方」になるわけなので、赤い水が特別であることが話の前提となる。)
i-modeにせよ、iOSにせよ、モバイルの進化は、技術進化よりも何年も遅れて、プラットフォーマーの都合で時代が作られている。
サードパーティに位置するベンチャーや技術者は、今、ビジネス的に最適だと思われるプラットフォームが提供するapiを使って、彼らに寄り添って生きて行くのが合理的なのだから、彼らの手のひらで踊りながら、新しいことを考えていかなくてはいけない。
デバイスやキャリアの都合やプラットフォーマーのビジネス上の隙間を抜くような絶妙なタイミングで、ユーザー数を集めてしまい事実上の新規レイヤーを作ってしまい「軒を貸して母屋を取る」というのが、今の時代のベンチャーの最高の成功パターンと言えるだろう。
しかし、我々が、i-modeやiOSの公開仕様やapiに囲われている以上、その情報の優位性は、下のレイヤーを支えるアップルやサムソン、NTTの技術者にはかなわない。
特にi-modeの10年の間に「技術的に可能で、かつ誰でも思いつきそうで、でもガラケーでは使えなかった技術」に関する応用特許だと、相当数、国内海外問わず権利化されていると考えても過言ではないと思う。
使えなかった理由は、市場的な理由もさることながら、
・i-modeの商売的に見合わない
・ドコモが興味を持たなかった
・日本特有の携帯電話のセキュリティの厳しさ
というあたり。要するに「普通の人マーケ」が影響した、ガラパゴスの悪い面だったと言える。
よくi-modeは海外に先行していると言うが、それはドコモが興味を持ってやったビジネスに限られる話で、それ以外については、同時に海外のメーカーも進めていた可能性が高い、と考えるのが妥当だろう。実際、それがアバターだったりSMSの周辺サービスだったりしたではないか。
そして「今まで使わせてもらえなかった技術」がiOSやAndroidでは使えるようになってきたので、時代の空気と「できること」のバランス感が求められる。
直近の例だと、ミログの件は一つの地雷を踏んだ例だったと思うし、おそらくO2O周りでは、特許の地雷を踏むベンチャーの一社や二社出てきてもおかしくないだろうなと思う。
誰でも思いつきそうだったけど携帯電話では絶対に実現できなかったことがスマホでならビジネス面でも実現しそうなタイミングが、まさに今だから。また国内で成長しても、海外に出た時に地雷を踏むケースもあるだろう。
ただ、だからと言ってi-mode脳のままパラダイムシフトに乗り遅れるのは避けておきたい。
結局のところ、技術経営が求められる範囲が広がっているので、チャンスとも言えるし、同時に気をつけましょうね、という話だとも思う。