June 14, 2012
いわゆる「シューカツ」という奴が、結構なストレスらしい。
「自分」が評価され、勝ち負けがある上に、大卒であっても有効求人倍率が1を切っている。生まれて始めての「脱落者の存在を前提とした戦い」だからストレスなのはわかる。
しかし、それ以前に、自分がやりたいことを分析しなさいという、どこからかの声を乗り越えられない学生の姿というのも感じている。
「やりたいことが見つからない」という学生がどうも多いようだ。
やりたいことが見つからないと思っていると、就職活動にもフォーカスが定まらなく、やる気が起きない。結果、志望動機も他の学生よりもぼやけるので負けるというスパイラルに陥ってしまうのではないだろうか。
この「やりたいことが見つからない」ことの正体は何なのだろうか。
自分の例を思い出してみると、就職した先の仕事はやりたい仕事だったのだろうか、というと、実際のところ「よくわからない」だった。特にB2Bの仕事なんて、そのものの説明してもらっても、そこで起きることなんて実際にやってみないとわからないんですよね。
B2Cだって、表側の仕事しかイメージできないでしょう。現場の苦労みたいなものは入って始めて知るはずで、それが耐えられないってのがあるとしたら、あくまで気持ちの持ちようだと思うのですよね。人間のスペックそのものがグレードダウンしてるわけではないのですから。
自分は理系で電気工学だったので就職先も電気の技術者として採用されるのが自然。まぁその範囲で想像つくことなら、どんな仕事でも力は発揮できるだろう、と思っていました。
で、実際に入社して驚いたのが、まず初日から現場を知るという方針で、いきなり板金の仕事から入りました。鉄の板を曲げて、切って、溶接する仕事です。溶接って知ってますか?アーク溶接ってのは日焼けするんですよw。目で直接光を見ちゃ行けないので顔は隠すんですが、どうしても肌が露出してる耳が日焼け状態になって皮がぼろぼろになるんです。明らかに皮膚がんコースだと思うので、ものを作るってホント身を削る仕事なのですよね。(補足:現場のベテランの人達はみんな元気でした)
まぁとにかく全くイメージが違う仕事。板金を含めて現場の仕事が2年ぐらい続きました。僕はたまたま新製品開発の特命プロジェクトに入れてもらったので2年でしたが、他の人は3年でしたね。
電気設計の図面を書いたり、制御のプログラムを書くような仕事はその後のことです。
その時与えられた仕事って当然やりたいことでもなんでもなかったのですが、つまらないことではないし、むしろ楽しかったし、それ以前に、何も問題だと考えてなかったかもしれません。多分「ものつくり」という広義な意味で「やりたいこと」には合致していたので
「オッケー☆」
だったわけです。
イマドキの人だったら、もしかしたら話が違う、と辞めてしまうものなんでしょうかね。実際にそういう人、会社にいたような気がする。
「やりたいことが見つからない」というスパイラルに陥ってる人は、あなたの知識、経験からでは、決して見つかる事の無いテーマを探し続けているのではないだろうか。そして、それが見つからないことに自己嫌悪していないだろうか。
自分のストライクゾーンを狭く狭くしなくちゃ、って思うのは、イマドキの就職活動のあり方の問題なのでしょうか。職業選択、就職先の選択で、「あなたの本当にやりたいことはなんですか?」と問いただせば問いただすほど、本人達が迷って悩んでしまうという悪循環を作ってはいないだろうか。
就職してすぐ辞めてしまう状況を解決したければ、就職する前に、本人に的を絞らせるんじゃなくて、どんな仕事でも楽しんで働けるようにストライクゾーンを広げることなのではないだろうか。
「自分がやりたい事」って、「ものつくりたい」とか「ネットのサービスを作りたい」「食べ物を売りたい」「食べ物を作りたい」「誰かを助けたい」「組織の一員として支えたい」、、、ぐらいにとどめておいた方がシンプルで良いと思うんです。
「ものつくりたい」という漠然とした欲求であれば、極論、ものつくりやってる会社に所属してるだけでも楽しいという考え方もありですよね。技術者採用されたのに、営業職に移った人とかも当然いるわけで、そういうことも、あくまで社内での役割分担だと思わないと納得しにくいですよね。
そうやって働いて行く中で、より精度の高い欲求が出てくるものです。セレンディピティという言葉があって、何かをしてる時に、ふと別の価値あることを思いつく「能力」を示す言葉があるのですが、この能力ってのが、まさに働いている中で培われて行く経験と、自分の気持ちのセットで出てくると思うし、それが成長ってことなのだと思います。
自分自身が成長していくと「自分のやりたい事」ってのが研ぎすまされてくると思うので、その知識も経験も持ってないときは、どうにか成長できそうだと思うところで、「自分の成長を賭けてみる」、ということがよろしいのではないかと思う訳です。
(だから、僕はどんな小さな会社でも良いので、正社員採用を目指すべきだと思います。責任が人を作るので。なお、僕が就職した会社に一番惹かれた言葉は「縁の下の力持ち」だったかな。)
p.s. それすらも全く思いつかないというケースも想定はできるけどね。僕は考えすぎてる人に向けて、いや、そうじゃなくてこっちにした方が良いよ、というのは割と言えるんだけど、全くそういう希望も何もない、という人に何かを言うってのは、あまり得意ではないので、そういう人には的外れな書き込みかもしれません。
p.s.入社したことがない学生が、正しい知識でのブラック企業認定はできないと思います。というかそういうのがわからないまま存続してることこそブラックなわけなので。君に判断は無理無理。