November 24, 2011
いつも話題の発言小町から、こんな話がtwitterに引用されて騒がれていた。
インターネット利用料?というのか、お店を運営するためのサービスに月々かかるのは仕方ないとして、お店のデザインだのなんだのって、20万円ほどかかったというのです。そんなにかかるものなのですか?
この感覚って結構理解できるし、この人が言ってることは直感としてはかなり正しい。
20万円も出せば素敵なデザインの家具は買えるし、庶民が目にする一流ホテルだってそんなにしない。
20万円以上の出費が出るタイミングって、子供が高校や大学に入学するときと、海外旅行に行くときぐらいか?!あとは大きい病気した時と出産か。
結婚式はこの10倍はかかるけど、「一生に一度」だし、マンションや家の購入も「一生に一度」だ。簡単にまねできないExcelというソフトエウアは、下手すりゃパソコンに無料でついてくる(ように見える)
それだけのお金を一回に使う機会ってない。
かつて製造業のエンジニアやってたときに、ソフトウエアの外注費に人月60万円って本気で高いって思ってた。
先輩に理由を聞いたけど、実感がわかなかった。
今聞くと、人月60万円って、会社に所属する開発者に頼むのならそんなに高いわけじゃないってわかると思うけど、それはネット業界で受託をやってから得た感覚。
だから、よくお客さんに見積もり出した時に「えーこんなにかかるの?」と言われた時には、このレベルから説明する準備をしておいた方が良い。特に、街のWeb屋さんであればあるほど。
答えを書いちゃうと、その逆にある「何故、多くのサービスがもっと安いか?」というのがあるわけで。
僕が製造業の技術者だった時に、一番見落としていたのは、
・モノがお金を稼いでることに気がつかなかった。
(多少の人件費は、製品を売った利益で吸収できるし、そういう価格設定がなされてる。でもこういうことに気がついてない方が多いんじゃないかと。)
からなんだけど、日常生活で言うと、多くのサービスが
・同時並行に複数のお客さんにサービスしている。
や
・モノの使い回し
だったりするわけで、回転率とか来客数でかけ算が成立するから、単価を下げられるわけだけど、一品一様のソフトウエアやWebページ構築は、お給料が月30万円の人を一ヶ月拘束するのなら、30万円で買えるわけはないでしょ、という単純な話。
でも前述の通り、ほかの量産型サービスに慣れちゃってるから、高いなぁと思うのは仕方ないわけですね。
そこのところで不利を持ってるってのはソフトウエア産業の従事者自身は理解してるのかなぁ。
そういう意味で、上記のリンクの返信にあるようなプロならSEOが云々とかって、この20万円のレベルの話だと、あんまり関係ない。そこを付加価値としてお金をもらえるのは15年前のWebページ制作の時代ならさておき、この規模感なら製品責任として仕事を請け負うために必要な最低限のスキルの話だとも言える。
よってページ作成の方法の本が1000円で買えますよね、だから高くね?と言う感覚は正しくて、じゃぁ、プロから何を買うのか?というと、定められた時間の中で、責任もって良いものを仕上げますよ!というのにお金を支払っているというのが大事なんじゃないかと。
HTML+CSSって、もはや紙とエンピツに近い存在ではないかと思っていて、まじめに学べば、誰でも多少はかけるんだけど、じゃぁ絵描きさんみたいなクオリティのデザインや成果物、プロであれば再利用可能なコードの構成って、無知な人がそこにたどり着くのにどれぐらい時間がかかったっけ?と言うのは間違いなくあって、「誰がやるか」というよりは「誰にお任せするのか?」という選択の話になると思うんですね。
(もちろん、デザイン性の部分だと一生かかってもたどり着かない可能性も高い。)
そもそもこちらの人がやりたいのはネットショップであって、Webページの制作業ではないわけで。他に時間を費やすべきことはたくさんある。同じ仕事を社員で雇えば20万で済むわけはないわけで、ワンショットでお願いしたいからこそアウトソースしているんだ、という部分をこの旦那さんは何故言えなかったのかは謎。
もちろん、自分でやっても良いと思います。カラーミーショップのショップオーナーさんだって、自分でやって大成功してるお店たくさんありますし。それに必ずしもWebのプロがネットショップが得意な訳じゃない。むしろ楽天ショップを毛嫌いしてるプロってたくさんいるし。表面的な部分で思考停止していて、特にB2Cについて考えられない人はたくさんいると思います。
という意味で、商売のイロハと生産技術が別のものだからというのは確かにあると思いますので。ネットショップを自分で運営したことがないという部分でのジレンマはどうしても存在していて、それも含めて「誰におまかせするのか」だと思います。