July 29, 2011
前回のエントリー「日本をコントロールしているもの」に関連するツッコミとして、日本企業はフロントの製品では差別化ができないから、基幹部品などにシフトしているという話をいただいた。
理屈では理解できるし、特定企業の戦略であればわかるが、丁度、僕が書いている本がありまして、そこには戦後の製造業で、ソニーや松下が大きくなって、それまで彼らのライバルだった企業が、彼らの下請けとして、部品を作る側に回って、全体のエコシステムができている、なんてことを書いて、Web2.0以降のapiを使ったネットビジネスにおけるプラットフォーム化にあてはめているんだけど、それと同じことが世界レベルで起きていて、日本が世界の裏方の裏方さんにだけ立ち位置が変わってるとすれば、それってやっぱり日本沈没のお知らせなんじゃないだろうか。
というのも、日本の強みはやっぱりきめ細やかな「おもてなし」サービスにあると思っているが、部品だけでは実現できない。B2BだろうがB2Cだろうがフロントエンドに関わってこその戦略で、それって、今強烈に利益の強みを出しているアップル的なビジネスだとも思うわけで(先進国に位置する国による高付加価値戦略という意味で例に出した)、それが今までできていたのに、Androidなどの普及で世界はフラット化し、「ようやくこれから」という状況のハズなのにで、独自世界ではイキイキとガラパゴスの世界を作っておきながら、いざフラットな社会になった頃にはすっかり裏方に回ってしまうというのは納得がいかない。
これを打破するためには、残念ながら製造業のものつくりアプローチではなく、ソフトウエアを活用したサービスの世界でどうにかするしかないんじゃないかと思った。
えーと、もう少し書くと別に日本だ世界だというわけじゃなくて、あらゆる役割を分け隔てなく考えた時に、適材適所、もちろん裏方を支えるのは重要なんだけど、少しでも日本にとって有利な立場になるために、フロントにも誰かはいないとダメじゃん、ということが言いたいわけです。(フラットを意識するなら国すら関係ないじゃんと言う話も聞くんだけど、ちょっと違うと思っていて、それだったらワールドカップなる世界大会が国別である必要はないかもしれないし。)
それが今まではソニーやパナソニックだったハズなのに、タイにはサムスンやLGしかいないね、ということなのです。
少なくとも僕が新卒の頃に入社した会社は「縁の下の力持ち」って言ってた安定的な製造業だったのでなんとなく感覚として持ってるんだけど、一旦フロントエンドの最前線から離れると、コスト競争力を含めてなかなか復活できなくなると思うんです。
いくらF-1レースにパーツを提供していても、一番注目をあびたり影響が大きいのはレーサーですから、両方大事。
もしかしたら、次世代はグリーやモバゲーがその立ち位置を握るのかもしれない。それはわからないけど、ほんの少しでも良いから、そのレイヤーに関われるように頑張ろ。