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藤川真一について


初代モバツイ開発者
想創社再創業 / KMD博士課程
著書〜100万人から教わったウェブサービスの極意―「モバツイ」開発1268日の知恵と視点 [Kindle版]
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October 11, 2010

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見積もりの際に、よく聞かれる言葉「予算はいくらですか?」という質問が苦手だ。

何故かというと、予算が決まってないことが多いから。

物理的に出せる金額が無尽蔵にあるわけはないので出せる金額の上限はある。しかし、多くのケースで適切なコストがわかってるほどプロではないものである以上は、そこで決める予算には、あまり意味もない。

達成しようとする目的に対して、かけられるコストが見合わないのであれば、そんなものは事業計画で決めるような「予算」とは違う。ただの上限金額だ。

だから必ずしも予算を決めてない。そして適切な予算はプロに教えて欲しいと思う。

しかし結果的に、値切ることになることが多い。

「予算はわからない」って言っても「見積もりを出すと、予算が出てくるんですよね」と言われたことがある。

その時は、笑ってごまかしたが、後々考えると、それは予算ではなくて、

「顧客が考えるその商品への価値」

だと思った。

当然、その道のプロは、自分の商品価値を高く売りたいと思う。故に、高い価格をつけて販売しようとする。

しかし、顧客が思い描く価格の差がある時、それは「提供側が埋めなくてはいけない価値判断の差異」となる。

埋める手段としては、値引きをするか、数や量、クオリティを減らすか、当初の見積もりを貫き通し製品やプロセスで納得させていくか、ぐらいしか選択肢がない。これらの選択肢の中で、可能な限り、顧客の目的を達成するための手段を模索するべきだ。様々な理由で本当にお金がないケースを除いては、上限金額ありきで製品クオリティが下がるということはあってはいけないことである。(少なくとも僕はそう思う)

いずれにせよ大事なのは、仮に黙ってお金を出したとしても、顧客が無知か否かに関わらず、

「この業者に、お金を出して良かった」

と思わせることができること。それができなければ値段が高かろうが安かろうが二度目はないだろう。またプロが、「この商品は、この値段が妥当である」と自信があったとしても、顧客が満足できなければ、文字通り「自己満足」でしかない。それが市場価値に見合わなければ、おそらく売り上げが上がらないという結果で返ってくることだろう。

問題は、それが自己満足かどうか?をどのように計り、判断するか、かもしれない。安売りしすぎず、という空気の読みも含まれる。すべてのお客さんが、価格に対する指摘を言ってくれるとは限らないし、満足度が、商品提供プロセスのどこで得られるのか、もしくは損なわれるか、についてもわからない。

よって、全てのプロセスで手抜きをすることは許されない。ただ言えることは、決して満足度は、結果としての「商品のクオリティ」だけではないことは確かだ。

どんなに旨くても、後でカップラーメンを食べたくなるような「ガンコなだけの寿司屋」の満足度が高いはずはない。そういう店の場合は、ガンコなんだけど実はシャイなだけ、みたいな愛すべきストーリーが絶対についているハズだ。

業務をアウトソースする際においては、実は「時間価値のショートカット」を購入していることが多いので、値段が高かろうが安かろうが無関係に絶対にやっては行けないのは、顧客に「時間の無駄」だったと思わせることである。時間だけは絶対に戻ってこないからだ。

この短い本をさくっと読みながら、自戒を込めてそんなことを思っていた。

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