January 14, 2010
SEO対策というのは、サイトを作った後の運用の話だと思っていたら大間違いで、SEOを意識したウェブサイトを設計すれば、立ち上がりが速くなるし、そもそもサイトのポテンシャルに影響してくる。何より何事にも変えられない大事な時間を失わないで済む。
SEO対策には2つのフェーズがある。
フェーズ1.インデックスされやすさ、クロールされやすさ(クローラビリティというらしい)を実現するサイト設計
フェーズ2.コンテンツ運用によって、、上位表示されるに値する価値を作り出す
フェーズ1だけで、上位表示するのは難しい。
難しいが、フェーズ1が満たされてないと、上位表示は難しい。
インデックスされやすさ、クロールされやすさは、サーバ設計、URL設計、コンテンツ設計(HTML構造含む)技術的側面で解決する問題だ。
そして、適切なインデックスをされるポテンシャルを持ったWebサイトが、フェーズ2の上位表示されやすいコンテンツ運用と組み合わさった場合に、沢山の人が訪れる、訪れやすいWebサイトができあがる。
これ、エンタメ系でオンリーワンのネタを扱うサイトだと、あまり問題にならない場合もあるが、例えば差別化しにくいECサイトではかなり重要なファクターとなる。理由の一部を紹介すると、
1.そもそも敵が多い。お互い商売なので本気でチューニングしてくる。
2.一般に仕入れられる商品は、その商品情報もセットで他社も取り扱う可能性が高い。
(ナショナルブランドの商品だと、類似ワードに対するライバルが多い)
3.ブランドワードがない場合、一般名称すぎて検索され得ない。
(手作り商品の「かばん」「革製品」・・・というキーワードで検索されるのは難しい。)
SEOをライバルが同じ事をやっていることだ、と思うと、誰でもできるようなSEO対策でサイトの差別化をするのは、なかなか厳しいことに気がつく。
やれ主要商品名をH1で囲むとか、metaタグには説明を書きましょう、なんてのはどこでもやってることなので、上位表示に対する優位性は得られない。
だが、おざなりにもしてはいけない。
クローラビリティなどに代表される技術的なSEO対策は、いわば地区予選だ。
地区予選で勝ち残って、検索エンジンに「正しくインデックスされた」ワードが、本戦で強豪と戦う切符を手に入れる。
だからこそ技術面で解決できることは、「絶対に落としてはいけない」
細かいことは、以下の書を参考に。
(ご献本いただきました。ありがとうございます。)
インプレスジャパン
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SEOを強化する技術を詳しく書いた本
SEOと聞くと、いわゆるうさんくさいリンクファームや隠しリンクで、如何に検索エンジンを出し抜くか?と言う部分を想像するが、本来は「検索エンジンに正統に判断されるためのテクニック」というのがあって、それが正しい意味でのSEO対策と言える。
ところが人間、面倒くさいことは苦手なもので、すぐに裏技を使って解決したくなる。実際、そういうい裏技で儲けている人たちも沢山いるわけだが、いわゆる「いたちごっこ系」という奴だ。
しかし、本書は「SEOの技術」という面白い部分に着目していて、何かをショートカットをする裏技が書いてあるのではなく、「まっとうなSEO対策」・・・、正確に言えば、モダンWebサイトの設計と運用技術、というのが正解か・・・について書かれていて、まっとうすぎて面白いなぁと。
というのも、検索エンジンもまた「人の作りしもの」だからである。決して、Googleのエンジニアが神なのではない。機械で判断するロジックもあるし、人手で運用してるところもあり、何より、時間もお互い有限だ。
だから、クロールに時間がかかるようなレスポンスの悪いWebサイトは嫌われる。Googleの持っているリソースは巨大だが、それは相手にするデータが巨大だからであって、遅いWebサイトをのんびり調べるために存在するのではない。だから、URL設計、DB、Webサーバ設計あたりが検索エンジンにも心地よい形で存在することは、経営課題にもなりうる。
ちなみに、ちょっとだけ非論理的な経験論を書いておくと、URLの仕様が変わったり、サイト移転をした時には、301リダイレクトで、既存のURLから新しいURLに飛ばしてあげる必要があるのだが、これ、確かに一番大事な作業なのだが、じゃぁ、100%無傷で移行できるかというと、経験上は、決してそんなことはない。
僕の感覚的には、「全体的に1ランク扱いが下がる」という印象がある。
例えば外部からリンクもちゃんと貼られているような4番バッター級ページは、301リダイレクトを通じてすぐにURL移行されるのだが、ほとんど外部とのリレーションがないんだけど、それなりに検索ページには出ていたような、当確ギリギリのページが軒並みインデックスから消滅した、という経験があります。
つまり出直しです。
そもそもサイトの移行には本書によると6ヶ月ぐらいは見込まなくてはならないとあります。かなり手間のかかる作業です。
基本的には運用しながらじっくり我慢して、様子を見て、システムを変更していくという流れになります。このフローは、自社のシステム運営だとまだやれますが、受託の場合だとお互い厳しかったりしますね。少なくとも発注者側が、ある程度技術面も含めてマネジメントと判断ができないと辛いです。
というより、胃を痛めながら毎日検索インデックス数を調べるような人がいないとダメです。
そういうのも含めて、一度作ったWebサイトの基本部分は変更なく運用が続けられるに超したことがないわけです。
WebサイトのSEO力は、大事な資産ですので、技術者都合でほいほいURL仕様を変えるようなものでもありません。プログラムを変えるのは簡単ですが、それで失う物は甚大です。
同時に、マーケ主導で、アクセス解析用のパラメータをリンク元ページに、お気軽につけて良いものでもありません。(その限りではないが、やるならやるで適切な知識が必要)
そもそも設計技術の勘所を何も知らなければ、クローラビリティを全く満たさないWebサイトも作れてしまうので、最初の設計できっちり作っておくのは大事、とも言えますし、後の日常の運用や、大規模な変更でも、誰が責任を担保するのがスムーズなのか、というあたりは大事なことで、そこでの計画立案、判断の指針としても本書は役に立つと思います。