September 23, 2009
2ちゃんサイトで、以下の話が面白かった。
欲しい商品があったら一ヶ月をかけるのも躊躇せず、店員と仲良くなったりして値引きしてもらうのだろうだ。
また、個人経営なら食品でも値引きをするとのこと。
すごいですね。
スレでは、そんなことは非常識と言わんばかりに叩かれているが、値引き行為が、だまし討ち的と捕らえられたり、自分に利益が享受されないものを抜け駆け的に得ている人の話は、こういう場所では叩かれる傾向がありますね。
法律違反に対して厳しく突っ込むのもそういうのに近い。叩く側が、ついつい社会の代弁者として公平性を求めるように対応してしまうのは、相手が友達でもなんでもないからなんでしょうかね。この辺は匿名性の限界を感じます。
それはさておき、もっと有意義に盛り上がれば、面白そうなんだけど、残念ながら話がふくらむ方向にはいかなかった。
「どんなお店でも値引きできるんだけど、何か質問ある?」というアプローチの方がよかったかな?!
この人じゃなくても、値引き行為を商品購入活動の中での「当たり前」にしている人っているらしいんですね。
値引きをすることが文化になってるエリアに住んでる人はそう思うことでしょう。
モノの値段は、原価に経費と利益を載せて販売しています。
利益がなければお給料を払えませんから、販売する行為に意味がなくなるので、すくなくともいくばくかの上乗せをしています。
また、自分たちの生活を良くするために、利益を取れるようなら、できる限り利益を乗せるのが心情というものでしょう。
そのため競争が激しいところでは利益を減らさないと売れないし、競争が激しい=売り上げが期待できる、ので効率的に数を売ることで利益が確保できるのでモノの値段が下がる。
逆に、競争がないところでは、利益を減らさなくても売れる、かつ、売れる数が限られてるという面はあるハズなので、モノの値段を下げる必要はありませんし、数が売れないなら一つの商品から利益を上げていかないと、そこで働く人達の生活が成り立ちません。
値段を下げなくても良い緊張感の緩い地域のお店で、利幅が大きめに設定されてるところはあるので、この発言者のように値引きを求めるのは、全然問題ないように思えます。
また競争が激しいところでも、最終的に他の店に買われるよりはマシなのでアリでしょう。
で、ですね。
値引き交渉という行為そのものが楽しみになっている人たちが沢山いる場所って、ごく当たり前に値引きされることを前提とした価格をつけると思うんですよ。
値引き文化の問題は、値引き交渉ができる人とできない人とで、購入する価格にムラが起きて、良くも悪くも「言ったもん勝ち」になってしまう点が一つ。
もう一つは、最初の「表示価格に嘘が混じる」という点でしょう。結局、値引きプロセスというユーザーエクスペリエンスを演出するために表示価格を高くしなきゃいけないわけですから。
これでは不平等だし、それらの不透明感が理由で買い控えが起きるよりは、いっそ値引きを最初から見せてしまった方が早い。
おそらくビックカメラやヨドバシのような10%のポイントというのは、
・大きな売り場面積を持つ量販店では、値引き交渉プロセスが接客コストの使い方として効率的ではない
・値引きをしてしまった方が囲い込みに繋がる(となりのヤマダで買われるよりはマシ)
・数を仕入れるスケールメリットを背景にメーカーにポイント原資分の値引きを迫れる。
この辺の行為によって実現されているシステムで、他店では使えないポイントシステムによって、値引き体験の平等化と可視化を持って、リピーター獲得の施策を打っているわけです。
その代わり、見事に利幅の薄いパソコンの自作パーツなどは秋葉原よりも10%高い値段がついていたりするわけですね。
それともう一つ。
2ちゃんねるでは、このスレを上げた人を非難しているが、売ったのはあくまでも販売店の側。
つまり、スレ主はうまくやったように思ってるかもしれないし、実際に、利益に余裕を持たせて売ってるヌルイお店ではうまく値下げを得られたかもしれないけど、それでも棚に置けなくなったような処分品でなければ、仕入れ原価を割ってまで売るわけはないのですから、結局は、売った人が同意して売っており、かつ、利益も出ているわけです。
じゃなきゃ、その人に売る意味がありませんから。
ところが、先ほどの家電量販店しかり、大企業の一括仕入れしかり、数の論理で、多大な値引きを引き出しているケースがあります。
もちろん一括仕入れというメリットを提示しての前提ですが、それよりも営業マンの成績になるから、とか、付き合いを継続するために必要、とか、大企業のお付き合いなどの視点での値引きがあることは否めません。
○○会社に、一括仕入れで買ってもらえるから、というあたりに何かしらの言い訳をつけて上司のハンコを得て、場合によっては他の消費者の利益をそっちに回してでも販売しているケースは少なくありません。
そういう意味では、個人の買い物の値引きなんてカワイイもんだと思います。
もちろん、個人の買い物でも、あまりのクレーマーのような相手であれば、接客コストを考えると、ウザイお客であれば多少なりとも値引きをしてしまった方がコストが安くなると判断されればひょっとしたら他のお客さんよりも安い値段で提供してしまう現場もあるとは思います。
お互い人間ですから、「言った者勝ち」という側面は否めません。量販店などでは、これは大量仕入れ大量販売の効率的な運用の中での例外条件なので、ノイズと判断されればそういう判断が下ることもあるでしょう。
ただ、それはノイズと判断されるからこそ許容されるだけであって、全員が同じ事を始めたらこのシステムは維持できなくなるでしょう。
だからこそ抜け駆けだと批判する気持ちはわかるのですが、ノイズであるからこそ許容されてるに過ぎないということも同時に思っておくべきでしょう。どうせ、2ちゃんねるに書かなくても一定数はそういう人がいます。お店はビジネスとして最初からわかっててやってることなので気にしてもしょうがないです。
どっちにせよ、さっきの企業の大量購入のように、大事なお客じゃないと判断されなければ原価を割ってまで売るわけではないのですから、原則的には売り手側の手のひらの上で判断される50歩100歩の状況だと思いますし。それで幸せを感じてもらえるなら、それもアリじゃないでしょうか。
で、とりあえず個人的な感想としては、
それだけのコミュニケーション力や熱意とノウハウを持っているなら収入を増やす方向に力を傾けた方が良いのではないでしょうか?とは思います。発想がエコ的じゃないですが。
結局、その人の能力として、有益に時間を費やす場合、そこで発揮されるエネルギーの総和は一定なのですから、レバレッジを効かせる活動で収入を増やして、お店ではさくっと値引き無しで買ってあげた方が、縮小方向に時間をかけて、誰もさほど得しないより幸せだと思うんですけどね。
何より時間が一番大事ですから。
まぁ、値引きが趣味の一貫だったとしたら、言ってることが「遊んでないで勉強しろ」ってのと同じ意味になってしまうから、そんなこと言っても無意味ですけどね。
時に人間は必ずしも有益ではないところにこそ力を費やしてしまう悪い癖ってのはあるものです。この書き込みのようにね。
以上、休日モードでした。