July 11, 2009
Android端末の本質は、Google IDを入力するだけで、Google検索、GMail , Talk , Maps , Youtubeが持ち運べるクラウド端末だと思った。
ドコモのAndroid端末、HT-03Aの発売前日に、AMNのイベントで一足早く触ることができました。
イベントの申し込み時に、「当日何を試しますか?」という質問があったので、
「Movatwitterの動作確認です」
と書いて当選することができました。
さて、HT-03AおよびAndroidのレビューを書いてみたいと思います。
触ってみたことと、その後、twitterでリプライをもらったことを含めて感じた、
■HT-03A、Androidの良いところ。
・本体の質感は結構良い。
・本体が手のひらサイズで持ちやすい。
・検索ボタンが優先的に存在するGoogleらしさ。
・検索することを前提においたユーザーインターフェース
・Google IDを登録するだけでGMailやGoogle Talkが使えるので、Google環境に身を投じている人はとてもうれしい。
・フリップ入力などは存在しないが、フリーのアプリで拡張できるらしい。
(パフォーマンス等は未確認。「動く」と「使える」は違うからなぁ。)
・とりあえずMenuキーを押せば何か出てくる、というハードスイッチが存在する。
・Google Street Viewが、ジャイロに対応して、向いた方向にストビューが付いてくるのは未来の実現だと思う。
・試してないけど、GMailの新着がプッシュ配信されるそうです。これはGoogleマニアには素晴らしい機能ですね。
・写真は綺麗。
証明の問題か赤みがかってますが、モバツイの写ツとして送信した写真です。写ツは、はてなフォトライフ側で長辺400px以内に縮小されてるものですが、以下がHT-03Aで撮影した写真です。
それと、細かいことなんですが、
・ブラウザのカーソルが「上下左右」に動く。
(モバツイのRTや★が、右左で操作できて、上下ではREのところにしかフォーカスが会わずに次の行に移動していく。)
■HT-03A、Androidが今一つだと思ったこと。
って、先に補足事項を書いておくと、今ひとつと思う基準には、「僕がiPhoneに慣れている」ことは否めませんので、そこのバイアスは「あるもの」としてお考えください。
Androidは、先行するiPhoneという存在に対してのカウンターパンチの存在でもあるので、常に比較される存在であることも含めて正直に思ったことを書きます。
・iPhoneと比べて、若干もっさりしている。
・iPhoneの方が、UIのアニメーション(トランジション)がスムーズ。
・キー入力にフリップ入力を期待してしまう。
・入力後の文字列に間違いが見つかっても、ルーペを使って途中位置にカーソルを戻すことができない。バックスペースで消すしかないのかな。(iPhoneは、文字列に指を合わせると、指の下の文字列をルーペのUIで拡大表示してくれます。)
・UIパーツは、iPhoneの方が優れていると思う。(理由と展開は後述)
・MENUキーの操作が、煩雑だなと思うことがある。
(Windowsの右クリックと、1ボタンインターフェースのMacの違いみたいな)
・ついついブラウザ画面でダブルタップしてしまう。拡大縮小の動きがあまりスムーズじゃないし、思ったところにいかないことも。
・スタンバイ復帰のキーが4つ並んでるうちの一つしか使えない。iPhoneは電源キーでも、丸ボタンのどちらでも復帰する。
■HT-03A、Androidと比べて、iPhoneがイマイチだと思ったこと
・iPhoneって結構、大きいんだね!
・文字フォントは、HT-03Aの方が見やすい。
■モバイルにおけるマルチタスクとシングルタスクのメリットは、マウスの2ボタンと1ボタンに似ている。
AndroidがiPhone OSに比べて圧倒的な優位点と思わしき点は、やはりマルチタスクで複数のアプリを同時に起動したままにできるということだと思います。
iPhone OSの場合は、iMovatwitterから、例えば地図を起動したら、iMovatwitterは終了してしまいます。iMovatwitterは最後の画面を覚えているので、再起動すると元の状態に戻ろうとするのですが、再度サーバーへのリクエストが発生してしまいます。(これはアプリ側でなんとかすべきなんだけど)
アプリの切り替えですが、HT-03Aの場合は、「ホームボタン」を長押しすると、アプリの切り替えウインドウが表示されます。これは、GoogleのAndroidのPMの人に教えてもらいました。
Windowsで言う、Alt + Tabを押したような感じでアプリを切り替えられます。
ただし、マルチタスクは若干気持ちよくないところがあって、もう終わったと思ったつもりになってるアプリが下に起動したままになってるので、目の前のアプリを終了したら、下から既に終わったつもりのアプリが出てきて、モバイル環境ではウザイなぁと思うこともあります。(Windows Mobileも)
そういう意味では、Androidの方が高機能で、iPhoneの方がさっぱりしていて気持ちが良いです。
とは言え、Androidがここをわかりやすい差別化ポイントに置いている以上、いずれiPhoneもマルチタスク、マルチアプリ起動に対応するのでしょう。
これはマウスの2ボタンと1ボタンの差違みたいなものなのでしょうかね。1ボタンマウスの方がわかりやすくてシンプルなんだけど、高度な使い方の前では、若干ややこしくなっても2ボタンマウスの方が好まれる、と言うあたり。
■UIコンシャスのiPhone OSと、検索コンシャスのAndroid
普段の僕のGMailの用途は、実はメインのメールサーバーのバックアップでした。
なので、大量の未読メールがGMail上に転送されていて、4万通ほど未読があったのですが、この状態でGMailを読み込んだら、ものすごい長いスクロールになってしまいました。
4万通全部受信してるわけじゃないですが、それなりに大量のメールが一覧表示されます。
もしiPhoneがこの状態のUIであれば、iTunesのように全体のスクロール位置に対する相対位置にジャンプできるナビゲーションがあることでしょう。また、画面の上部をクリックしたら一発で先頭に戻れます。
しかし、Androidは、そのような機能はないようなので、ひたすら指でスクロールしていく必要があります。(多分ね)
そこで、そのことをAndroid担当の人(USの方がわざわざ来られていた)に聞いてみると、
検索しなさい
と。まぁGmailってそういうものだよね、と言われればそれまでですが、
なるほど。Androidのインターフェースは、検索して情報をある程度絞り込んでから、例えば、20件ぐらいに絞り込んで候補を選ぶということにフォーカスしているのか、と。
この一言は、かなりびっくりし、かつ、Androidへの見方が変わったような気がします。
やはりAndroidはGoogleの強みを最優先に生かしたOSなんだな、と。
最近、iPhone OS 3.0にメールに検索バーがつきました。
これは、優れたスクロールUIを持つiPhoneからすると退化と呼ぶ人もいます。
これは単純な正常進化かもしれないし、もしかしたらAndroidに影響されているのかもしれない。
なるほど。UI方面から磨きをかけているiPhoneと、自社のコアコンピタンスである検索を最大限生かすAndroidは、良い意味でも悪い意味でも、相互に影響しあうんだな、と。
■iPhoneとAndroidと携帯電話の戦い
どんなにWindowsが主流の世の中になっても、一定数のMacユーザーは存在しました。
それと同じく、iPhoneが良いと言う人はこの先、絶対に一定数いるし、これだけの完成度を持ったiPhoneOSが正常進化を続けている限り、UIや画面デザインの面で、Androidが優位に立つのはおそらく不可能でしょう。
Androidが目指す道というのはそこではなく、Googleのクラウドの世界という自社の優位性を最大限武器にしていくことが最大のポイントである点と、もう一つは、Android Marketが自由な空間であることから、いかに秀丸やFFFTPのようなキラーアプリが登場するか、にかかっているような気がします。
あとは、ここに「既存の携帯電話」がライバルとして存在しているのを忘れてはいけません。
携帯電話は、お仕着せのアプリ、コンテンツプロバイダーというプロが支えるPCと比べたら狭い世界だと思います。ただし、余計なことを考えずに使えるし、キャリアおかかえのネットワークで通信品質やリアルタイム性が非常に高い。PCが作ってきた自由なアプリ vs 携帯キャリア主導の保護政策。
とりあえず僕は、iPhoneとAndroidはアプローチは違えど、PCの補完を目指した似たもの同士という認識をしているので、そこは生暖かく見守るとして、個人的には携帯電話を買い換えたくなりました。
もちろん僕がモバツイを提供しているからなんですが、携帯電話は、どこまで行けるのでしょうか。
ガラパゴスな優位性を生かして、iPhoneやAndroidに負けない世界を維持できるのか、もしくは、世界最大のクラウド提供企業であるGoogleとうまくやっていくのか(いずれにせよiPhone、Android,携帯のクラウド面を支配しているのがgoogleという図式になると思う)、もしくは、かつて国民機と言われたPC98の二の舞になってしまうのか、興味は尽きません。
PCと違って、アテンションに限りがあることがiTunes Storeのランキング主導の話でも指摘されている難しい世界です。果たしてこれからの人々の興味はどこが主流になるのだろうかと、興味はやみません。
大した結論でなくて恐縮です。長々とお読みいただきありがとうございました。
最後に、会場の六本木ヒルズの中のアカデミーヒルズ40Fからの夜景を載せて終わりにしたいと思います。iPhone 3GSで撮影。