December 08, 2008
昨日のWebSigは、プレゼンしていただいた4社のお話をリアルで聞きながらも、セミッター経由の音声も聞いていたという状況で、そんなにがっつり話を聞いていたわけではなかった。
それでも漠然と自分勝手に思ったことがあって、それ自身を、どんな風に書こうかと思いあぐねていたのだが、マイミクの人の日記に感想があって、
「ふつーの人に使ってもらうようにすることがWeb業界の発展のためなんじゃないの?」
ということが書いてあって、そうなんだよなーと、もやもやしている部分がなんとなく見えたような気がする。
まずROIって言葉があると思うんですね。
Web制作系の話では大体、かなりの割合で、このROIという言葉が出てきます。
ROIというのは、「投資に対する利益」ということらしい。要は「それやって儲かりまっか?」という指標。
うーむ。Webに情報を掲載して儲かるのかなぁ・・・。
もちろん資料請求などの郵送費やカタログ代が情報のオンライン化によって節約されることを考えたら、コストは安くなる。だから、利益は向上する、か。
コーポレートサイトの目的ってのは、機会損失を防ぐ物と、そもそもコストダウンの手段だったんでしょうか。どちらかというと防御的役割。
利益を向上させるという意味での、攻めのインターネット利用ってのはどこまで実現できているのかな。
いわゆる「ネットビジネス」の世界に足を伸ばせるような時代になると良いよなぁって思うんだけど、そういう感じの話は、そうだなぁ。今回プレゼンしていただいたカヤックさんのリアル連動のあたりが可能性として近いかなぁ。ただ、現状は、まだ広告のインパクトの役割、buzzのネタだったりしますよねぇ・・・。
Webに投資対利益率というのを適用するなら、いわゆる企業の製品、サービスそのものがWebに軸足の一つを置いているという世界が理想だなぁと思っています。
そういう提案ができていけたら良いのになぁなんてのは、僕は、ずっと思っていることだったりしてます。
ものつくり系企業が、ネットビジネス的な発想に対応するのは意識上不可能なんて話も聞きますから、いきなりダイレクトにつながるとは思ってはいませんけど。そもそも、そういう企業は、ネットのことは全然わからなかったりしますしね。
当面は、ネット活用はEC主体なんだろうけどね。ただECはECで厳しいからなぁ。一部上場企業とかが、毎日ユーザーにメールを送り続ける姿なんて思いつきもしませんしねぇ。
来年は、企業案件でもモバイルが来そう、という話になっていました。
それはなんとなくわかります。GMOグループでもモバイルホスティングって、企業向けの無料Web制作プランを打ち出していたりしますし、他にも企業向けページサービスが中小企業向けを中心にありますから、その流れで大企業も載ってくる可能性はある。
乱暴に言えば、昔ながらの「うちもホームページ持たねば」ブームが、携帯という形で出てくる可能性はある。
そうすると大学などの計算センターから就職情報を探していた学生が、今度は、携帯を使って会社案内を調べるようになるのかもしれない。
それはそれで大事なことだ。
携帯というのは、今のところPCを使わない「ふつーの人」にとって、もっとも近いインターネットデバイスだ。そういう意味で、携帯対応していくというのは重要。
しかし、今のPCインターネットが携帯化するだけではあまり楽しい世界じゃない。だってROIが本当に高いのか謎なままだし。
携帯であればやっぱり携帯らしい場所や時間を超越したベネフィットを提供できるサービスが重要なのではないだろうか。
例えば、スーパーのPOS情報が携帯で連動する世界。
こないだ買ったタマゴの賞味期限越えが、外から確認できる。
そうすることで、会社帰りに何を補充すれば良いかを最適化できる。
故に、リピート購入の意識を最適化できるし、安売り情報をかけあわせて教えてあげたらお互いハッピーだろう。
また、アラートをセットしておけば定期的に買う食品を教えてくれるとか、ネットスーパーが勝手に配達してくれたり。
こういうのは一見便利だが、マズイのは変な儲け方をしている会社で、例えば間違ってタマゴを購入してくれるお客さんがいるからこそ利益が上がる、とか、お客さんにとってアンハッピーな形で発生する利益に依存していたら、携帯で賞味期限を最適化する行動は企業的に悪なので実現しない。(レンタルビデオの延滞金とかね。)
そういうのを覆すためには、保守派、反対派を押さえ込むに必要な絶対的なメリットが、先になければならないので、前例としての儲かってる実績は必要だと思う。
この例にしてもジャストインタイム的な発想をコンシューマーの世界に持ち込むとか、そんな発想なんだろうけど、とはいえ仕事じゃないコントロールできないところを、コントロールしていきましょうって話だから、発想は簡単でも実現は難しいだろうし、実際儲かるのかはもっとよくわからない。
どう実現していけるか?は、現実的に深掘りしていかないと実際どうなんだかは皆目検討も付かない。
僕のイメージするWeb屋としては、それらの生産プロジェクト自体の実現可能性の提供する仕事はもちろんだが、それ以外にも企業がチャレンジできるようなお手伝いができていったら良いんじゃないかと思う。
何故かというと、多くのネットサービスのベンチャー企業は、リアルの接触ポイントを持っていない。つまり、ベンチャーだけが頑張っていてもなかなかリアルな生活をWebを使って良くするということはやりにくい。
もちろん、大きくなったベンチャー企業が何かを自分たちで作るという視点を持ち込むことは可能だが、そういうのが企業としてできそうだったのは、かつての堀江社長ぐらいなんじゃないだろうか。(と勝手に思ってる)
もしそういうのが形としてあったなら例えば楽天が、それを普及フェーズに持って行く可能性が高いような気もするが、その前に人柱的に引っ張っていく企業が必要で、そのチャンスを堀江社長の逮捕という形で消滅してしまったような気がしてならない。
そういうベンチャーからのアプローチもありつつ、もう一つは既にリアルな接触ポイントで商売している既存企業が、自社のリソースを生かして、ネットをうまく利用できるような世界になったら、もっと面白いことができるように思える。
先ほどのPOS情報は、企業秘密以外の何物でもないわけだから、POS情報を保有する企業以外にオープン化されるなんてことはないように思える。おそらくだけど、Web2.0のような公開、共有の動きは、企業にとって本当に大事な情報については期待できない。
つまり、POS情報を持つ企業が、それをネットを使って売り上げ向上を目指した顧客サービスとして生かしていくしか手がない。オープン化するとしたら、そのビジネスを加速させるために抽象化した情報をapiとして公開するというのが正しい考え方だ。
そういうのをビジネスアイディア含めて、実現するところをWeb屋さんって人たちがお手伝いできたら、良いんじゃないかと思うわけ。
それこそが結果的にリアルとネットの融合、ということになるだろう。
もちろん進化は周縁から起きる、という湯川さんの言葉があるとおり、いきなり本命企業がリスクを冒してまで変化を起こす可能性は低いことから、誰かが、誰かのアイディアを刺激していき、徐々に筋肉をほぐしていく役割が必要で、やっぱりベンチャーたるWeb屋さんが、その入り口を作ってあげる必要があるように思える。
つまりWeb屋さんは、実際に物を作るという意味での「提案型企業」である必要はあると思うんだな。
と、ここまで書いて、イベントの中身にはほとんど触れていなくて、ぶっちゃけ、このエントリーは、僕がこの先、やりたいと思ってることを書いてるだけなんだけど、そういう意味で、ちょっとだけ文章化できたというイベントだったということなのかもしれません。
## 結局はGoogleもしくは外圧、なのかもしれないけどさ。日本人は日本人を信用しないからねぇ・・・。
あくまでコーポレートサイトに限った話ですが、僕はウェブサイトは企業が独自でもつ「メディア」だと思っているので、そこに情報を載せることで「直接的には」お金が儲からなくても良いと思っています。
「直接的には」と書いた裏には、当然、おっしゃるようにコスト削減とか機会損失を減らすことで結果的には利益に貢献する必要があるわけですが。
なのでコーポレートサイトのROIについては(お茶を濁すような回答しかないのですが)少なくとも「売上貢献」だけではなくて、「営業コスト削減」「採用コストの削減」「社内のとかも含めて、総合的に計測するのが妥当なんじゃないか、と感じています。
「攻めのインターネット利用」という方向性はこれから楽しみなんですが、そこでの営業貢献度とメディアとしての価値って別の尺度な気がしますが、いかがでしょう?
うん。すばらしいレスだと思います。
あとは、微妙に定量化できてないものが、今後起こるであろうコストダウン要求の波でどれだけそのプレゼンスを維持できるのかってのは気になりますね。
例えば、人材採用についても、自社ページに出すのと同時に、紹介会社にも発注しているところは多いと思うのですが、紹介会社もネットを利用してビジネスしているところを利用するのも効率的なネット利用とも言えるわけですよね。
やっぱりエージェントに頼んだ方が費用対効果が高いのであれば、そっちの方が良いわけで。そういうのって地味に評価に効いてくるんですよね。
また、トヨタのWebサイトの価値が1500億円とか言うのも、社内の意思決定ではどう扱われてるんだろうか、とか。
攻めのインターネット利用は、もはや事業そのものになりうることなので、当然、コーポレートサイトとは予算の出所も評価も変わってくると思います。事業にするということは、どんなに良いと思ったサービスでも消滅しうるってことでもありますし。それに対して、コーポレートサイトは絶対になくなりませんからね。
攻めのインターネット=営業、マーケティング、と理解しましたが、それがないというか、そういう意識なしに企業がWebサイトやっている、ということに驚きました。私のところへのクライアントはほぼ100%、いかに儲けるか、どう儲けるか、という話なので、ぜんぜん別の次元で話がされていて面白い。そして、不景気だから、と経費節減する企業が多いのは、それしか対処方法を知らないから、なのでしょう。とっても興味深く拝読しました。
いや、マーケティングを意識してないわけではないんです。そんな簡単な話じゃないというか。あくまで相対的な話というか。そもそも中小企業のWebのあり方と、TVなどのマスメディアを使える企業のWebのあり方は違いますからね。
そういう流れの連続性の話であって、間違っても考えることなくWebを運営しているとかそういう話ではありません。
経費節減についても、結局、広告宣伝費扱いでは、社員がクビ切られる世の中ですから経費節減の波にのまれるのは致し方ない話。それ自体は不思議とも思いません。
このエントリーは、それに対して、どう利益の源泉にするか?という話なんですが、これも広報活動などの枠組みの中で、相対的にWebが埋もれてる人たちの話とも言えるので、ちょっと視点が違うという印象です。