September 25, 2008
Dr.HOUSEというFOXチャンネルでやっているアメリカのドラマがある。
解決が難しい病気を、Dr.ハウス率いる数人の医者のチームで解決していくという医療ドラマである。
能力は高いが口が悪い個性的なハウスを中心としたストーリーでアメリカでは人気のドラマだそうだ。
医者のドラマというと、日本では有能な医者が1人で問題を解決していくというのを想像するが、この物語は違う。むしろ、彼らは間違いを犯すし、基本的にトライアンドエラーである。
その代わり、チームで思考を巡らせながら問題解決に当たっていく。。
問題解決をする方法として、ソクラテス式問答法という方法で、ハウスと、メンバーとで対話をしながら問題の仮説を立て、有能なスタッフが検証をしていくことで問題解決に導いていく。
ソクラテス式問答法とは、ネットで調べると、以下の文章が見つかった。
ソクラテス以来の問答法。問答を発して、相手に次々と答えさせ、そこから矛盾を導き出す方法だ。ソクラテス自身は産婆法と呼んでいた。無知を自覚させる(産み出す)方法だからである。
問題の要素をホワイトボードに書き出していき、そこにある事象について、スタッフに問いかける。その答えに対して、また新たな問いを考えていくというやりとりの中から、仮説を見い出していく。
仕事の出張中に、飛行機の中で病気を発症した患者を救う際に、自分たちのチームがいない中、乗客を集めて、乗客に3つの役割を設定した。
1.必ず同意する人
2.常に反論する人
3.道徳的に非難する人
これらの役割を担う人たちとキャッチボールをしながら本質に近づいていくブレスト手法と言える。(実際は素人相手にキャッチボールになってなかったが)
これを実際の仕事のシーンに当てはめると、結構面白くて、
1.必ず同意する人・・・ポジティブだが思考が浅いケースが多い。ビジネス寄り、企画系の人間はこちら。
2.常に反論する人・・・ネガティブだが、思慮深く、慎重に判断できる。エンジニア系に多い。
3.道徳的に非難する人・・・全体のバランスを取る人。ビジネスよりは、かくあるべしを大事にする人、サービスにこだわりのある人
これ割と最小構成に近いWebサービスのチームを構成すると、それなりに同じような構成になっている可能性が高いような気がする。
つまるところ、こういう人たちの発想の良いところを引き出しつつ、物事を追求するために、その場を司会していけば良いのではないだろうか、なんてのとDr.HOUSEを見ていて思った。
ここで大事なことは、
1.ヘビ、カエル、ナメクジではないが、3すくみの状態にならないように、うまく発言をしやすくするように盛り上げる。
2.課題設定はより具体的にする。
個々はそれぞれ専門性を持ってるし、そもそも個々の話題はここでやる話ではない。また、「売上を上げるにはどうしたら良いか?」レベルの漠然とした課題を提示しても、彼らの専門性に根ざした活発なレスポンスは返ってこない。それはあなたが考えて、より具体的な問題に落とし込んでから彼らに問いかけるべき。
ハウスがやってるような危機意識やプライドを刺激するというのは良いかもしれない。KYな人以外、なかなか難しいことだが。
あと、何よりチームのメンバーが素直で有能。これ一番重要。
みんなそれぞれの自我と個性を持ちながらも、ちゃんとHOUSEから言われたことを、ぶーぶー文句を言いながらも従う、チームで支え合う、従わせるところが、このストーリーの最大のキーポイントと言えよう。
中間管理職にとっては思い当たるフシが沢山あるハズ。とても面白いストーリーなので是非、見る機会がある人は見てみたら良いんじゃないかと思う。
参考:
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ところで「ソクラテス式問答法」で検索すると、うまく人を言いくるめる方法として紹介されてるページが圧倒的に多く見つかる。そういうコンテンツ作ってadsense狙いのサイトも見つかる。説得技術あたりで、それなりにニーズがあるのだろう。
しかし、これ正しくは、「異なる専門性の能力を引き出して、みんなで前に進むための手法」だ。どちらかというとコーチングの技術か。少なくとも、Dr.HOUSEを見てて思うのはそっちの方。
Dr.HOUSEがチームと喧々諤々しながら苦労してるように、この手法で人をひっくるめられる人は、うまく相手の利益だと思うように誘導する人だろうけど、まぁ凡人には無理だよ。それができるなら一代で大きい会社を起こせるから、少なくとも凡人と自覚する人は、こんな手法に期待すんな。