July 27, 2008
iPhoneを購入しました。
昨日はWebSigのイベントだったので、まだ全然いじれてないのですが、とりあえずiPhoneが良いなぁと思ったのは、自分たちのイベントのドタバタの中、ずっとついつい申し込み忘れていた他のイベントに、Safariを使って申し込めたこと。
イベント中に、二次会の案内などでiPhone片手にマイクを持ってアナウンスをしていました。実はそのときに、formassembly.comで作られた入力フォームに申込情報を入力していました。後に他の人と会話をしながら、申し込みを完了させました。
現状は、アプリの方が注目されていますが、地味なところで「PCインターネットがそのまま持ち歩ける」ということこそが一番の魅力ということになるのではないでしょうか。
特にビジネスには向いていると思っていて、楽天やColor Me Shop!proの管理者画面にログインして、商品の在庫もすぐ変更することができると思います。MovableTypeにログインして、ブログの記事やコメントを管理したり、気になるエントリーを非公開にしたり削除したり、adsenseを確認したり、サイボウズにログインしたり。他にも携帯サイトではない環境で、いろいろあると思います。(カーソルキーがないのでできないこともあるのですが、それは後述。)
そういういろんなことを、
「後でやる」じゃなくて、「今やれる」
「後で見る」じゃなくて、「今見られる」
いわゆる暗黙知という言葉がありますが、暗黙知が形式知にならないのは、何かの行動の中でのみ、その情報が表面化するからだ、なんて話があります。
実際に何かをやってみるからこそ思いだされることがある。または、何かをやっている時に、ふと違うことを思いつく。(セレンディピティとか言います)
PCじゃなきゃ操作できないことなのに、家に帰ってパソコンの前に座るとすっかり忘れてしまう。何故か道を歩いていたり、他の人と話をすると思い出す、なんてこともあるのではないでしょうか?
そんなシチュエーションの不整合に対処するために、「あぁあれを後でしなきゃ!」ということをtodoリストとして書いたりすると思うんですね。
checkpadに登録してみたり、自分宛にメールで送ってみたり、紙や手帳にメモしたり。
急いでいたら携帯のフルブラウザで頑張ったり。
僕は携帯のフルブラウザは中途半端だと思っているので、それならばLet's Noteを立ち上げます。emonsterを立ち上げて接続します。Let's Noteの復帰時間も含めて、経験的に5分ぐらいの連続的な時間と、Let's Noteを開く場所が必要です。
Let's Noteは軽いので電車の中で立って作業することもできますが、携帯やiPhoneと比べると決して快適ではありません。モバツイのサーバが不調とか、これから行く先の情報を調べるとか、本当に必要なことじゃなければ、わざわざノートPCをカバンから出してまで、何かをしたりはしません。
iPhoneがあれば、後でやらなきゃいけなかったことが、今できるかもしれない。そしてノートPCと比べて、同じ行為にかかる行動コストが安く済みます。
Safariをポケットに持ち歩いていて、電波さえ繋がれば一瞬でgoogleから検索できるわけですね。
外で行動していると、さまざまなシチュエーションで行動が分断されることがあります。5分という時間を連続的に確保するのが難しいタイミングがよくあります。例えば、歩いていて信号が赤になった。信号待ちしていたら青になった、駅に到着してしまった、改札を通る、などなど、自分が本来目的としていることを達成する過程で、状況が数分以内にめまぐるしく変わるわけです。
こういった時にiPhoneは、「PCインターネットサイトへのアクセス」において、自分が目的としているメインの行動の中で、非連続的に分断された時間を紡ぎながら目的を達成することが、やりやすくなっています。
この行為に恩恵を受けられる世界を持っていた人は、iPhoneのメリットはあると思います。
(Webサイトのステートレスなアーキテクチャの恩恵も大きいです。動画ストリーミングやパソコン通信やtelnetのようなセッションの継続が前提だったら、この恩恵は生かし切れません。)
この部分だけで言うと、iPhoneだけが特別だなんて言うつもりはなくて、あくまで時間と手間が前より少なくなって、できることが増えたということです。
例えば僕が提供しているモバツイッターは、そもそも、この辺を意識していまして、twitterに書き込まれているPCインターネットの情報を携帯でも見たかったというのがきっかけで、twitterの書込に書いてあるURLをgoogleやモバツイ自体のコンテンツ変換を使って閲覧できるようにしてきました。
携帯電話というブラウザ(シンクライアント)に対して、モバツイッターのサーバがインターネットの代理クライアントとして動作することで、PCインターネットにアクセスするシステムというのがモバツイッターの本質かもしれません。
iPhoneでも、もちろんモバツイッターを使ってるんですが、更にクライアントがリッチになっていることで「Webページをそのままのデザインで見られる」、「JavaScriptが使える」、「入力フォームを扱える」というメリットがあります。
例えば、携帯ではwriteboardにログインできません。
ただ、じゃぁWebサイトなら完璧に操作できるか?というとiPhoneのSafariと、PCのSafariの設計の違いで、やはり阻害要因はあります。
・テキストエリアや、長い文章が記述されたテキストの編集は苦手
カーソルキーはつけて欲しかった。また、テキストエリアの縦スクロールは無理?
MT2.6で試す限り、blogの記事の編集はちょっと厳しいです。
・やっぱりコピペ欲しいね。ハッシュを通したBasic認証のパスワードを求めるサイトにアクセスする気になりません。
・別ウインドウから元のウインドウ(window.opener)を操作することはできない
リッチエディタ系やCMSの管理画面系だと、こういう操作もあるかもしれませんね。
・メモリがなくなると、すぐ前画面の情報を忘れる。
モバツイッターもこれが原因で、別サイトを開くフローを改良しています。
などなどあります。
他にもSafariが落ちるとか、Flashがないとか、まぁいろいろあるとは思うんですが、PCインターネットが手のひらで操作できるという意味では現時点では最強かとは思います。「PCインターネットを手のひらでそのまま持ち歩ける」というのを、このクオリティで実現しているという意味では、Windows Mobileはもちろんできてないし、androidも志向していないような気がするので、オンリーワンなのではないでしょうか。(Firefox Mobileってどうなんだろ。)
モバイルで「それ**でもできるよ」という話で一番重要なパラメーターは、それにかかる所用時間だと思います。
自分の行動の中で、時間がかかりすぎて目的が達成できないのと判断される機能は存在しないのと同じです。僕にとってのフルブラウザはすでにそういう存在になっています。(フルブラウザを使うなら、モバツイッター+携帯ブラウザで頑張ります。)
昔から重要視しているのが「次の山手線が来るまで目的が達成されるか」「次の駅に着くために目的が達成されるか」というのがあります。
こういった自分の行動の中の時間閾値の中で、今までできなかったことができるようになって、それが自分にとって幸せだと感じるのであれば、そのデバイスはあなたの人生を豊かにする可能性があるということです。
iPhoneは、まだ自分の生活の中で本当にどこまで役に立って、何ができないと判断されるかはまだ経験できていませんが、とりあえず昨日一日だけで言うなら、他の人としゃべりながら、何度も申し込み忘れていたイベントを一つ申し込めたという事実だけは書き留めておこうと思います。
(その代わり、モバツイの写ツは不便になってるし、できないこともやっぱりあります。自分で開発できるものなら、自分でどうカバーするかって話だと思ってますけどね。)