July 17, 2008
近畿大学のWebで、新卒の就職活動に対する意識の低い学生に向けて、お説教文章を出したら、それがあまりにも正論すぎて、ネット経由で文句が付いて公開停止に追い込まれたという話。
J-CASTニュース : 「就職できない人は欠陥品」 近畿大HPをめぐって議論
ネットに公開する場合、見るかもしれない相手は、自分ところの学生だけとは限らない。
情報が対象とするスコープとして、「就職活動をする学生」に向けたものなら、まぁなんとかOKなものが、「インターネットをみるありとあらゆる人」になった瞬間にアウトになる例。
しかし、
新卒のチャンスを生かさないと勿体なさすぎるのは紛れもない事実。
なので、こういうことを学生に向けて、しかもインターネットを通じて訴えたいなら、
「親からカネだしてもらってるのに恵まれたチャンスを生かせない学生は(親に対して)欠陥だ!」
と表現した方が良かったね。
親を引き合いに出して、まだ心に刺さる年齢ではないかもしれないが、そればかりは仕方ない。
ところで、通常の就職のパスとしては、新卒ではなく中途採用の方が自然なのではないか?と思ってる立場としては、新卒採用というのはやや特殊な採用方法だ。
何故かというと、学歴や、現在のポテンシャルという、まだ、なんも実績のないところで成否が決まる、極めて「特殊な採用枠」だからだ。
新卒に期待されているのは、それこそ「泥のように働いた10年後」であることは間違いないと思う。
イマドキのインターネットの技術面では、たまたま今がアカデミズムや個人の技術的興味と、実益が一致してるラッキーな時代なので、10年が長すぎるという話になるのかもしれないが、それ以外の世界では、やっぱり「現場で失敗してナンボ」という世界はあるわけで、そういう状況の中で、新卒への期待とは自社の文化の中で一人前になってもらうための、あくまでも「金の卵」だと思うのだ。(カネの卵じゃないよ。→「有望な若い人材」という意味。)
だから、3年で辞められたら投資失敗ということになる。しかも、新卒枠は将来、うまく育った時の幹部候補生だったりもするからタチが悪い。
というあたりから、新卒採用枠というのは極めて特殊で、実績が無くとも良いスターティンググリッドにつけるチャンスでもあるので、生かさなきゃ損♪損♪
ただ大学の中の人だと、新卒採用が当たり前になってるから、このチャンスを生かせない人を「欠陥品」などと表現したくなったのかもしれないが、非常に勿体ないチャンスを捨てているとは思うけど、別にダメだ、ってことはないですやね。
それこそ「泥のような10年」は、今の非常識だ、というのがなんとなく支持されてるようにも見えるし。みんな結構、ショートカットしたがりなのかなとは思ったりも。
(この「泥のような」のタチの悪いところは、多分、言葉の定義が一致してないところだと思う。これってネガティブワードなのかが、未だにわからん。ちなみに僕は決して泥のようには働いてきていません。自分が泥のようになれる何かを探しながら、気がついたら、いい歳になってしまったなぁというのは今更思ったりもしてます。)