July 05, 2008
僕がプロデューサーをやってるカラメルには、日本全国のネットショップをgoogle maps上にマッピングした地図検索という機能があります。
そこに各県毎のショップの数を表示しているのですが、これがそのまま日本の各県毎のWebニーズをほぼ反映できているのではないか?と思うようになってきました。
上位10県を抜きだすと、こんな感じです。
東京都 503
大阪府 236
神奈川県 165
福岡県 97
兵庫県 93
愛知県 91
北海道 87
静岡県 76
千葉県 75
埼玉県 75
数は問題ではなく比率が重要なので、グラフにしてみました。
さらに地方別
東京と大阪がほぼ2:1
続いて、北海道・東北、九州・沖縄、東海がほぼ同数です。
この分布を読むのに必要なカラメルの特徴を書くと、
・カラメルのショップは、月1000円で出店可能なColor Me Shop! proというネットショップ構築のASPサービスをお使いになられているショップです。(つまり固定費が安いところを選んでいるショップ)
・カラメルの出店は月300円です。
・ということなので、いわゆるWeb屋=プロフェッショナルサービスに頼んでショップを作っているお店さんは、地図検索に表示される画面キャプチャを見て回ると少ないような気がします。(標準で提供しているテンプレートをカスタマイズしているケースが多いですね。)
・ただし独自ドメイン可能だし、CSSやsmartyライクなHTMLのテンプレートはいじり放題なので、プロが作っているショップも沢山ありますし、そもそもデザイン意識の高いお客さんが沢山います。
・(注意:カラメルの全部の店舗分布ではありません。地図に表示するスイッチが設定にあります。)
なのでWeb屋に仕事をお願いする顧客層と比べると、もうちょっとコスト感が低いところが多いのですが、それでもやっぱり東京が多い数値を見てると、多分、それなりに日本のWebニーズの分布が反映されているんだろうと思うわけです。
また、こういうところをご利用いただくお客さんがお金を稼ぎ、さらに業務拡大する折には、Web屋さんにお願いするケースもあるので、将来の見込み客と言えるのかもしれません。
これをそのままWebの受託業界に当てはめると、本社機能が集中する東京は、さらに大企業が集中するということで差は広がるのかもしれません。ただ、それもこの表から見ると、予算規模が変わるだけで、分布はそれほど変わらないんじゃないかなぁと思うのですが、東京の顧客を持っている東京圏以外の会社さんの感覚としては、いかがでしょうか?
ちなみに、この地図検索ですが、何故こんな機能を作ったのか?というと、東京以外の地方をクローズアップしたかったからというのがあります。
商品名などの検索クエリーを集計して見えてくるのは、「今のトレンド」に過ぎません。
そうすると圧倒的に東京(もしくは東京でも買えるものや、場所関係なく価格勝負とか)が有利なんじゃないかと思うんです。実際、楽天や価格.comというのはそういう趣が強い。
それとは切り口を変えたいと思っていたのですが、その中の一つが「場所」をキーに検索するという動線です。そういう意味ではロングテール用途の絞り込み検索とも言えます。検索エンジンを中心とした今のネットのあり方に則していません。だからPV少ないです。(ajaxのページだしね)
最初はカラメルのトップページの上の方に置いてありましたが、毎日のPVや狙うところを最適化していくにあたって、段々、ページの下の方に移動し、トップページ以外のリンクを削除しています。
ただ、できればこういう切り口の検索が、普通に回るようになるのがインターネットの理想だと思うんですよね・・・。現状のインターネットも、TVや雑誌のトレンドを中心に動いている状況です。僕もマーケティングなどを勉強する中で、ロングテール検索をカラメルのようなショッピングモールの日々の運用を考える中で、今、前面に出すのはまだ時期尚早と考えるようになりました。(ここが楽天だったら、もっとバリバリやりたいところですが、楽天は楽天で露出そのものが広告商品だから、やっぱり難しいか。)
しかし、やっぱりロングテールなニーズでも、それを全国から集めることで、地方のショップさんが地元で営業するだけでは得られない売り上げを上げること、が理想です。もしかしたら世界規模で見るべきなのかもしれないね。
ビジネスは選択と集中と言いますが、選択と集中をしたら都市部を狙うのが良いに決まっています。しかし、それはインターネット的ではない、と考えています。
今の僕の実力ではいささか理想論なのかもしれません。
もしかしたら東京圏に住む僕がどうのと言える話ではないのかもしれません。地方のWeb屋も現実はなかなか厳しいものがあるというのも話には聞いています。しかし、地方のWeb屋さんという現場でWebを作る人に、是非とも、そういうムーブメントを起こして欲しいんですよね。具体的にはカラメルの地図検索の店舗分布が東京の一極集中にならないように盛り上げるってことだと思います。(別にカラメルの店を増やしてくださいって意味ではありません。日本の多くの人がもっとWebに期待を持つようになれば、勝手にここも増えるはずです。)
Web屋は何のプロであるべきか?というと、別にHTMLを書くこと、とかflashやrailsが使えることじゃないと思うんですよね。
Web屋はWebサイトを構築するプロだと思うんですね。
Webサイトってのもいろいろあって、コミュニティサイト、コーポレートサイト、サービスサイト、ECサイトなどの分野があって、それぞれに最適化されるスキルってのが必要で、そこが本当の差別化要因だと思うんです。要はそこで売り上げをあげるのか?もしくは間接的な寄与だから、コストが低くあるべきか?とか。
カラメルに参加しているネットショップを見ていてつくづく勉強になるのは、彼らはビジネスを成功するためにWebにお店を持っているわけです。そういう意味ではWebの知識を持っている方々であり、かつ、お金を出すことには厳しいです。まして、楽天のような、もはや球団も持った知名度というスペシャルな集客機能に依存しないで独自ドメインで自分の城を構えて生き残っているWebビジネスのプロフェッショナルな方も沢山いらっしゃいます。
こういう「うるさいお客」から予算をもぎ取る自信はありますか?
僕が最初に就職した生産設備の会社の場合、お客さんの方がプロなんですね。何せ、日々の生産を苦労して生産性を上げ、製品品質を上げているのはお客さんの方であり、設備メーカーは、そこでの問題を解決する手助けをする装置を提供するという存在です。
Web業界に来た時に、「圧倒的にお客さんが素人」という状況に結構困惑しました。
特に昔は、副業的なビジネスを始められる会社さんもいると、普段、お金を直接やりとりしない担当の人がWEBマスターになって商売を始めようというケースも多かったですね。
今のWebは「お客さんがネットビジネスのプロ」である時代にもなってきます。
Webを専門にやる人は、「Webビジネスの技術やデザインを提供するプロ」として期待に応えていかねばなりませんね。
WebSig代表の和田さんのblogに、企業内にWebの担当者がついたぐらいで淘汰される仕事ってどうよ、という話が書いてあったのですが、まさにそういうことだと思います。
Web衰退時代をどう楽しむか - CSS Nite shuffle - Vox
企業がWeb担当者を雇ってきてるからWeb屋での仕事がうんぬんなんて話も聞くけれど、そもそもが一人、二人のチームを中で持つことで解決しうる価値しか提供できないのであれば、そんな商品が長続きするわけがない。今まで、企業サイドでWeb理解が足りなくてなんて文句を言っていたくらいなら、良い状況になったと思う方が健全じゃないのか。
■おまけ
うちのお客さんで、僕の田舎である山口は周防大島から冷凍ミカンを売るお店が出ていました。
一昨年二人とも他界した祖父母が、周防大島でみかんを作っていて、毎年、ダンボール一杯のみかんと食べながら育ったので、みかんは文字通り、家に腐るほどあるものだ、という認識が僕にはあります。
これはとてもうれしい。みかんというコモディティ化した商品を全国に認知してもらうのは今のネットではなかなか難しいと思うけど、是非、そこを工夫して頑張って欲しいです。
今度、父にも教えてあげよう。ちなみに周防大島のみかんは贈答用らしいので、とてもおいしいですよ。
##ここはスーパーで売ってる普通のお刺身がおいしくて、東京では食べられません。島の周りにある「うず潮」に集まってくる鯛が有名なのですが、特に子供の頃からハマチが好物でしたね。東京の庶民が、このレベルのタイやハマチを食べるのは絶対に無理。噛むのが疲れる刺身なんてないですもん。別に普通に養殖のハマチだと思うんですが、違いは時間という単純なパラメータだけなんですけどねぇ。