June 18, 2008
勝間さんの自己啓発系の本は、僕にとっては、この本で言うコンプレックス市場の本だよなぁと思って苦手だったので見ないようにしていたのですが、もっと本職的なお話だったので買ってみました。まだ読み中です。
東洋経済新報社
売り上げランキング: 197
「利益」にフォーカスして分かりやすいです
神田昌典さんとの対談で知って
サブタイトルはいただけませんが…
どっかで見た管理指標の公式だな〜と思ったら・・・
売り上げを管理する役割の人で、あまりマーケ専門じゃないですとか経済系の本を読んでいない僕みたいな人はとりあえず買っておいても良いと思う。間接的だけどWebディレクターも読んでおくと良いと思います。
特にクチコミで顧客獲得単価を下げましょうとか、キャズムの話とか、今時のビジネスのやり方も広くまとまっててわかりやすいのと、クチコミとかも無形の価値みたいなので語られているのではなくて、ちゃんと利益を上げる活動の一つの手段という見方をしていて、至極まっとうな話が書いてあるので、新しいことを学ぶというより、すーっと納得、共感するという印象の内容です。(そう思わせるところこそが、まさにコンサルタントたる腕と言ったところでしょうか。)
この本を読みながら、インターネットの無償サービスというのは一体なんなんだと考えてみました。
無償提供サービスを単独で維持するためのビジネスモデルというのは、
・情報をとりまとめて露出し、情報のオーナーからお金をいただく
(リクルート型、ショッピングモール)
・無償で利用するユーザーに、広告などで間接的に商品を売る
(広告モデルって奴)
・無償で利用するユーザーのアウトプットを中間業者として販売する。
(携帯小説型)
などが考えられると思うんですけど、いずれにせよ間接的な何かを作り出して、そこに経済的価値を作っていくということだと思います。その場合の利益をもたらす真の顧客とは、
・情報提供者
・広告主
・アウトプットを購入してくれる業者や消費者
ということになるわけです。
(いわゆるおもてなしなどの文脈で使われる「お客様」という意味ではないので注意)
もう一つ利用者と顧客が一致しているケースとしては、
・無償で利用するユーザーに、直接商品を売る
(モバゲー型、楽天のアフィリエイトや手数料収入)
というのはあります。ユーザーを顧客に転換しているので、これが一番強いでしょう。特に、お金では得られないモバゴールドを得るために、モバゲー内で買い物をする人がいるとか、楽天アフィリエイトで得たポイントを楽天でモノを買うという経済圏の確立はスゴイですね。もちろん、その前段にモノを売るスキームが回っているからこそできることです。
無償で利用するユーザーを増やすコストは、まだ、うまくビジネスが繋がっていない段階では、直接的な売り上げに貢献しないことから、ユーザーを増やすコストは広告宣伝費ではなく、全然別のコストに分類されるべきなんじゃないかと思います。
(・・・って書いてるのは多分間違っていて、正確には無償で利用するユーザーを増やすコストが、収入に繋がるようにサービスが設計されてなくてはいけないわけで、本来であれば広告宣伝費で良いハズです。しかし、必ずしもそうなっていないケースも多いと思います。
収入に直接繋がらないのに広告宣伝費というのはどう考えてもおかしいと思うんですよね。だから実際、そこにお金を投下するのは難しいんですよね。金額設定の根拠がないし。)
まだ収入とユーザーを増やすフェーズがうまく噛み合ってない時のコストのありかたはなんなのか・・・「仕入れ原価」かなとか思ったりします。
多くのネットの無償サービスが作り出したい価値はコミュニティであることが多いですね。そのコミュニティにあるアクティビティをお金に換えるということであれば、そこに必要なコストというのは仕入れ原価、材料費なのかなぁなんて思ったりします。
コミュニティという無形の空間から生まれるアクティビティ(PVとかメディア価値とか)を仕入れて、そこに存在する価値を使って、収入に繋がる顧客に何かの形で販売するという流れということになると思います。
蚕を飼って糸を作り、加工品業者に販売するようなイメージです。
蚕を闇雲に飼っているだけでは糸は取れません。
つまりコミュニティを創造する活動にかかるコストが製造原価ということでしょうか。
実際の会計上の取り扱いは別として、なんとWebのコミュニティサービスというのは難しい仕事なのだろう。
「とりあえず人を集めれば、お金は後からついてくる」とはよく聞く言葉ですが、何も考えなくて良いという的な意味は本気で信用してはいけないと思います。
というのも経営センスを持った人は、ちゃんと素で利益を出すことを考えています。経営的ベースがあって、やみくもに売り上げの絶対値や顧客獲得単価の絶対値にガツガツせず、利益を出す仕組みにフックをかけておき、全体のバランスで見ているところに、「後からついてくる」という言葉の本質があると思います。
日頃からしっかり売り上げ、利益を上げていく考えを持って活動していなければ、お金を産むサービス作りをすることはできないと思います。