April 19, 2008
「Web担当者を育てるコミュニケーション力」という本を献本していただきました。
技術評論社
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Web担当者Forumがとても象徴的で、今更ながらWeb担当者というセグメントが僕の中で明確になった。(全然関係ないですが、Web担当者Forumって名前良いですよねぇ。)
Webの受託を行う人たちにとってのクライアントとは、直接関わる「Web担当者」と、構築したWebサイトの上でプロモーションなどを行う企画担当者、さらに彼らの上司や、システム運用をする人たちなど多様な職種がいるが、その前線に立って制作会社とのインターフェースになるのが「Web担当者」だ。
と、当たり前のことに長々書くなという話だが、何故書いたかというと、このWeb担当者の存在は、そのWebサイトで成功するのにとても重要な役割を担う。そして、Web担当者の後ろに様々な意志決定をする人がいるという事実も重要。
以前、Webサイトは、「Web担当者の熱意以上のサイトは作れない」と僕は考えたことがある。担当者の熱意が低いと、それをWebサイトという成果物で支援する制作会社のアウトプットも、その熱意の低さが反映されてしまうからだ。
更に、うまく行かなくなってしまう案件は、別れる直前のカップルのような状態になってることが多い。大体、別れ話を切り出す前には、お互い同じようなことを感じているという話があるが、最初から冷え切った関係になっているのではなく、様々な要因によって関係が冷え切って行ってしまう。
逆に、いくら熱意があっても、「制作者と連携する勘所」がないとなかなかうまく回らないこともある。コストと熱意(やりたいこと)が全然噛み合ってなくて、制作者が苦労ばかりするとか、自社内で報連相ができてなくて、よかれと思ってやっていたことが社内の別の人にひっくり返されるとか、いわゆるKYなクライアントではそれはそれで辛い。
そんなことを制作側の視点から記述したのが本書である。
ということで、あくまでも制作者側の意見という感じはしなくはないが、それはそれで制作者サイドがこうして欲しいと思っている状況、みたいなのでもあるので、うまくWebサイトを作りたいと思っているWeb担当者は読んだ方が良いと思う。
制作会社とのコミュニケーション以外に、エンドユーザーとのメールやblogでのコミュニケーションのことも掲載されている。
・Web制作者も休日休みたいと思ってるし、定時で帰りたい。(一部除く)
・Webの目的は顧客とのコミュニケーションである
この2つの言葉にピンのこないWeb担当者がいたら是非、読んでみると良いと思う。
きっと、そういうWebサイトでは、外注先がころころ変わっている(変えている)とか、外注が言ったことしかやってこないんだよなぁ・・・とか、あまりWebサイトの存在意義や成果が見えてないんだよなぁ・・・とか、効率的ではない何かが起きているのではないかと思う。
別に仕事を減らせとか、そういうことじゃない。時間を忘れるぐらい、どれだけ一緒に燃えられるか!が大事だということだと。
なお、この本のタイトルは、「Web担当者を育てる」とあるが、ハードだけど有意義なクライアントの案件の場合は、「Web制作者を育てる」という部分もある。
ここで何が育つかというと、主にはクライアントのビジネスへの理解である。ここをうまく導けるWeb担当者は、制作者とは真のパートナーとして長く良好な関係を結ぶことができて、結果的にリスクが減って、プラスの方向に回っていくハズだ。アメとムチというと怒られるが、何に誠実であって、何に厳しいか?というのを勘違いしていると制作者もついてこない。同じ利害関係にある部下とは違いますからね。