April 06, 2008
これはかなり気になる木。実際、Amazonって「放っておいても売れる商品」以外の本やCDはどれぐらい売れてるんだろう。
アルバムCDの平均的売り上げ - ARTIFACT@ハテナ系からの引用の引用
ただし、じゃあ「個性派はとにかくAmazonで勝負」かというと、それも違います。ニッチなアイテムの中でも、過去の評価が定まっているものは、Amazonの威力が存分に使えるんですけど、もう一方で、評価がまだされていない、これから初めて世に出すものというのは、考えてみれば当たり前ですけれどAmazonでは売れないんですよね。別の方法でプロモーションをして、それを皆さんに知ってもらわないと、いくら5000枚とか、1000枚でいいといっても、やっぱり売れないんです。「Amazonだけ」ではどうにもならない。
そんなにレコード屋や出版社にはうれしくないロングテール的な売れ行きはネットの特徴として、もしコンビニのような「利便性」だけでモノが売れているとしたら、市場創造力というかユーザーへの提案力はほとんどないの?という感じになってしまうわけですが。
例えばTSUTAYAの平積みや視聴機に置いてもらったり、店内で音楽を流すか流さないかで売り上げが全然違ってくるとかはあると思うのですが、そういう機能はオンラインでは無理ということになると、非常にうれしくないです。
でも、だからこそ出版社のAmazon戦略としては、Dan Kogaiさんに書評を書いてもらう合わせ技を繰り広げるわけですね。バイラルで一度広がった場合の影響力は大きいかもしれませんし、何よりAmazonで上位に上がるというBuzzが、なにがしかの意味を持ったりしますしね。はてブ一位みたいなもんで。
音楽の場合は嗜好性が強すぎて誰かにレビューを書いてもらうというのは難しい。オーディオマニアならSTEREO誌のようなCDの音質とかは向いてると思うのですが、いかんせんそこの市場は小さすぎ。
先日、このblogで紹介した、ICOCAの佐野さんの本がAmazonでの扱いがひどくて、ジャケット画像もかなり出遅れてAmazonに掲載されていたようです。
Amazon.co.jp: プロデューサーズ―成功したプロジェクトのキーマンたち: プロデューサーズ制作チーム,佐野 一機,インパクト・コミュニケーションズ: 本
しかし、「F's Garage:成功したプロジェクトのキーマンたち、を読んだ」でもアップしたとおり、渋谷の本屋では発売直後から平積みだったりと、その扱いには差を感じます。
とても気になってるのが、この本のページの「あわせて買いたい」に出ている本が、僕が先日、「F's Garage:「Webサイトプランニングブック」を読んだ」で紹介した本なんですね。
Amazonランキングが低い部分は、ほんの数冊でも影響が出てしまうような気がするんですが、それ以上に、本当にこの二冊は関係あるのか?というとないと思うんですね。
何を持ってして「あわせて買いたいか?」という判断が、非常に怪しい。これは過信かもしれませんが、ひょっとしたら僕が紹介した本だったから、というケースもあるかもしれませんね。
じゃぁ、例えばDanKogaiさんが短期間に紹介された二冊の本の関係性とかが気になるわけです。もし、そこが影響が出てしまうなら、梅田望夫さんの本と同時期にDanKogaiさんに書評を書いてもらえば、梅田さんの「あわせて買いたい」に表示されて売れるという導線設計も可能かもしれません。
Amazonが今のようにユーザーレビュー主体になる前は、土井さんのようなエディターの人が本をセレクトして書評を書いてプッシュしていた時代もありましたが、ユーザーの方で勝手にレビューが回るようになった今、そもそも売れる物は売れる、認知が低いモノは売れないという感じで、特定ユーザー層の趣向に大きく依存してしまっているような気もします。
もしかしたら、いわゆる衆愚に陥っていたりはしないのでしょうか?!
正直言ってレコメンドエンジンの効果は抜群だと思います。しかし、そこには人の息吹は見えてこない。
理想はAmazon発のムーブメントが起きることが重要だと思うし、ユーザー数的には可能なハズだし、それぐらいしてもらわないとトップランナーとして物足りない。
本当はレビューをうまく集約すれば理論上はレビューから人気の商品を抽出できると思うのですが、ネガティブな部分の信頼性の面で、ひょっとしたら出せないという評価をして、結構、思い悩んでいるのかもしれません。(実際のところは知らんけど、僕はECサイトで集合知による順位付けは成り立たないと思ってます。お金は人を動かせるからね。)
僕が好きな、青山ブックセンターや六本木ヒルズのTSUTAYA、ビレッジヴァンガードは店員さんによる商品の提案力で売っている書店だと思います。TSUTAYAの視聴機は、音楽に無知な僕はとても参考にしています。またビレッジヴァンガードは古い本を引っ張り出して、うまく売るので有名ですね。
普段、Amazonであまりモノを買わないのは、そういう提案力の部分が一切感じられないからだと、改めて思った次第です。
もちろんネットのプライマリショップとしてやっていけるなら良いんでしょうが、それならば、そろそろアフィリエイトの料率などを武器にガチで勝負してくるネットショップが出てきても良いんじゃないでしょうかね。
Amazonにはブランド力があるようで、実はあまりないんじゃないかな?と思わなくもないです。
商品在庫や配送が負けないことは前提として、Amazonに負けないオシャレ感、インテリ感を刺激し、アフィリエイト料率などで実利面でのメリットを打ち出して、訴求してくれるブロガーに振り向いてもらえば、逆転する余地はあるんじゃないでしょうか?例えば、booklogやSocialTunesに切り替えてもらったりとか。
と言っても、今、それが狙えるのはジャンルが限られてTSUTAYAとBK1ぐらいかもしれませんけど。それ以外はAmazonとは違うところ狙いでしょうかね。後発で商品数も少ないカラメルも既に違う道に行こうとしています。
ガチンコ勝負だと、例えばIYグループの企業力があれば可能だと思うんですけど、ホームラン前提の大企業には無理かもというジレンマが。でも、ネットでホームランが打てるまで待ってていいものなのかなぁ・・・。大きくなったEC市場予想のパイを見てすくいに来るだけの企画だとしたら、ネットらしい新しい世界は作れないだろうし。
mixiのEC進出とかで購入部分を独占できたら大ホームランかもしれませんね。
しかし、やっぱりネットはスモールビジネスをする人と、そういう人の認知がうまく広がるような世界を作るのが理想だなぁ・・・あ、それ、ある意味Amazonじゃん。(先頭に戻る)
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追記:
音楽は本のように書評などの文字でアテンションを得るのは難しいと思うので、「売るために」音楽配信まで手を伸ばす必要がある。