February 23, 2008
理由は簡単、プレーヤー達が給料が安くても良いと思ってるから。
だから技術者は報われない
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よく「ひどい」と聞くのがテレビ番組制作に携わるADの仕事である。私の友人もそれを経験したのでよく聞かされるのだが、寝る時間以外はすべて労働というほど働き、それで給料はびっくりするほど安い。そんな生活を続けていても、正社員になってまともな処遇を受けられるようになれるのはごく一握りなのだという。それで文句があれば辞めればいいのだが、ほとんどの人はその仕事が面白いから辞めない。もし辞めたとしても、その仕事をやりたい人はいくらでもいるから、人手不足になることはない。こんな状況だから、処遇が改善されるはずもない。
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需要と供給のバランスは、価格を決定する。
その仕事に関しては人の習熟度が求められていないってことなのかもしれない。
ADの場合は、玉石混合の中から生まれてくる一握りの玉が上に上ればいいという人材振るい落としの場のための仕事とも言えなくもないが。
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ニンテンドーDS用のソフト『脳を鍛える大人のDSトレーニング』は、「販売されたDS用ソフトの1割弱は脳トレ」というほどの大ヒットとなり、それを監修した東北大学の川島隆太教授には巨額の監修料が入ることになった。ところが、川島教授はその全額をそっくり東北大学に納めているらしい。英国のニュースサイトによれば、その報酬額は24億円にのぼるという。
この件に関して、「川島教授は立派だ」との感想を多くのユーザーがもったようだが、『はてな匿名ダイアリー』には、そのこと、さらにはこれが世間で美談として語られていることに対する批判意見が載っていた。こんなことがあると「(技術者や研究者は)好きでやってるんだから、待遇は悪くてもいい」という雰囲気が強まるのではとの危惧である。これを受け、「お願いだから、理系の人間はカネも要らずに趣味だけやってると思われるようなアピールをしないでくれよ」という書き込みもあった。他のブログなどでも、同様の意見をちらほらと見かける。
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川島教授が「働くことが趣味だからいらない」という趣旨の発言をされているが、それ自身はあまり理由にならないように見える。
結局の所、周りが均衡を求めることに付き合うのを避けたのではないか。
「プレーヤーの方が給料が安くても良い」というのは何も自分一人がそう思ってるんじゃなくて、周囲のプレーヤー'sもそう思っているということ。
だから一人が抜け駆けするのは許されない。
バランスを調整する立場の人の行動は要注意で、低いところを高いところにあげてバランスを取るのはメリットがうまれるが、高いところを低いところにあわせると、とても大きなデメリットが生まれる。
バランスを取るという行為で、何かを向上させたいと思うなら、何かのビジョンに基づく必要があると思う。コストやリスクを優先すると、大体何かが失われていく。人の気持ちとか、品質とか。
コストとリスクを取るということは、いわゆる「リスクマネジメント」の範囲ということ。
単純に「他の人とのバランスを…」なんてことを口にしてしまうと、言われた側は、上から押さえつけられたようになって、閉塞感を感じ、希望を失うことがある。
・・・書いてて、こういうのって改善しにくい事情があるケースで、日常的に起こっているシーンのように思えてきた。その割に、ダメと言われた側のショックや失うモチベーションは計り知れないかも。
こういうの一回言われると、大した話じゃなければ「もうやめとこ」って諦めちゃうもんな。「もうやめとこ」っていうのが日常積み重なると、「売り上げが上がらない」、「コストが上昇する」、「言われたことだけをやっておけば良いとなって改善しない」、に繋がってくるから、変な縮小均衡の道にも行きかねない。