January 30, 2008
もしセカンドライフの魅力がチャットだったとしよう。
リアルマネートレードもアバターのキャラもアクションも、実はチャットというコミュニケーションの潤滑油と仮定してみた。
・・・それって、大げさすぎね?
実際の魅力はそれだけじゃない。WebSig24/7でやったセカンドライフイベントでは、会場のデジハリの教室の映像をQTSS経由でリアルタイムストリーミングで流して、セカンドライフで活躍する人たちが作ってくれた素晴らしい劇場でセミナーを体験できた。一つのリアルの場所と、セカンドライフ内のバーチャルの場所を共有する感じってのは、普通のWebサイトではできない体験だ。
また、イベントの準備をしていたときに、僕のキャラのとなりに可愛い女の子キャラのアバターが座ってくれた。なんだかドキドキした。全然話すこともないので、一言も発言できないヘタレな自分だったが(3D酔いしてた)、こういう感覚って、学生時代に人の距離感覚の違う女の子が横にぴったりついたような感じだった。そういう魅力はあると思った。
要は何が言いたいか?っていうと、わざわざ3Dを使うんだから、2Dやテキストではできないコミュニケーションができないと、やる意味がないんじゃないの?って話。
3Dで自由度が高いことそのものが楽しい人ってのを思い浮かべてみた。例えば体が不自由な人かもしれないし、精神的に不自由な人かもしれない。特に日常の行動で支障がない人が、メタバースで行動すること自体が楽しいのだろうか?
ゲームのようにゲームをプレイする味付けとしての3Dならわかる。ただ3Dじゃなくても良いよねってのは最近のゲーム事情を見ればわかるとおり。なんでかっていうと、3Dの作成コストが高すぎるから。このコストがゼロに近づけば誰も文句言わないと思う。
また、セカンドライフと同時期に、twitterというシンプルな文字列コミュニケーションが偶然にも人気を獲得していったところも対照的に思う。
もし僕がGyaoの人なら、無料シネコンをセカンドライフ内に10カ所ぐらい作る。そこはVODではなく開始時間で決まってる。リアルと違うのはコメントが蓄積されて、以前の上映で同じ映画の再生ポイントで発言されたコメントは、映画館のコメントシステムから発言され共有される。他の映画を見たければGyaoにアクセスすれば良いし、わいのわいのやりたければセカンドライフで楽しく見る。
もうすでに考えられてやめた案だとは思うけど。あとこれってリアルなショッピングモールの常套手段だよね。そういえば・・・。
今日は、AMNのイベントでスプリューム社に訪れた。
不覚にも一切調べずに行ってしまったので、てっきりセカンドライフの人気が出た後に雨後の竹の子のように出てきた一社なのかと思っていた。
が、その予想は完全に間違っていた。
スプリューム社の歴史をお聞きすると2000年から3Dを専門にやられてきた技術者集団だった。
3D映像の制作会社さんの一部門が独立したような形とのこと。
元々、この分野で頑張っていた会社さんが、セカンドライフブームで一気に名前が前面に出てきたというわけか。
そして社名と同じスプリュームというプロダクトは、セカンドライフとは全然違ったものだった。
専用のビューワーが「.cr」という拡張子のスクリプトファイルと画像を読み込んで3Dでレンダリングして、その世界の中で複数のアバターがコミュニケーションができるというもの。
ブラウザタイプの専用のビューワーはあるが、IEのプラグインとしても提供されている。
専用ビューワーでは、.crのURLを打ち込む必要があるが、IEのプラグインなら、プラグインがembedされているWebページに移動するだけで良い。
セカンドライフが、大げさなサーバシステムの世界観にどっぷり入らなきゃいけないのに対して、かなりシンプルだ。セカンドライフほどの複雑な制御はできない。
僕が思い浮かべたイメージは、Flash Player3だ。
swfファイルの替わりに、.crファイルを読み込んで3Dアニメーションを表示するというもの。
Flash Player4ぐらいになってれば、かなりのことがActionScriptで制御できたが、スプリュームはそこまではできずに、JavaScriptでできることは簡易なアニメーション制御にとどまるそうだから、Flash3が適当。
.crというファイルは、HTMLファイルみたいなもので、個人のWebサーバに配置できるので、テクスチャ用の画像と一緒にロリポップやhetemlに置いておけばよい。
アバターシステムは、.crの3D空間にオーバーレイするようなイメージで、スプリュームさんのサーバの方でやってくれるので、手元のサーバのデータとアバターシステムが、ビューワー内で組み合わされる形で、自由度の高い世界を作ることができる。
スプリューム最大のメリットは、「空間リンク」と呼ばれるハイパーリンクの仕組みだ。
スクリプトの中で、他人のサーバの.crファイルのURLを書いておくと、3D空間の中で自動的に他のサーバの3D映像を描画してくれる。
要は視点の向こうに、他のサーバの世界が見える。これはやりようによっては最強だ。
Webサイトは、HTMLという単位でページが切り替わっていくので、他のサイトのことはハイパーリンクをクリックするまでわからない。このコストが結構高いために、Webサイトのリンクは重要だ、結果、SEOなんて話にもなっていく。
しかし、スプリュームは3D空間の中で、シームレスにレンダリングされているため、隣のサーバの様子が、今いるサーバの空間から伺える。
こういうメタファはWebブラウザではあまりない。司会の徳力さんはAjaxという表現をしていたが、僕の中で一番しっくりいったのは、FirefoxのAutopagerizedだ。
特に、この空間を生かすなら、Webサイトのページングの不便を解決してくれると思った。
例えば、はてなブックマークの人気のエントリーのページをクリックしてくのって楽しくない。そもそもページングというインターフェースは定番だけど、別に、ちっとも使いやすいインターフェースではない。検索エンジンが先頭数ページしか見られないってのもインターフェースの問題とは考えられないだろうか?!
はてなブックマークを3D化するなら、画面キャプチャと、なんかの付加情報が、ページングすることなくスクロールしていくUIになっていたら、そっちの方が楽に見られるんじゃないかな。
タグなんかも、タグクラウドで表示するんじゃなくて、タグがつけられた画面キャプチャが、行列で並んでいるのが見えたら、もっとわかりやすくない?
今、頭に思い描いているのは攻殻機動隊で描かれるネットの世界。
三次元の世界の広さは、人間では把握しかねる大量情報の整理にこそ向いているのでは?!
もしスプリュームを僕がコミュニケーションサービスに使うなら、こんな感じってのを考えた。
1.3D空間を生かすサービスとして僕ならクリエイター向け画像アップロードサイトを作る。
例えば、イラストレーターの人が、自分の作品画像をアップロードするだけで、3D空間の中に自動的に作品が展示される。MovableTypeの3D版みたいなCMSもアリ。
2.3D空間は、それが作れる人によってテンプレートを作って提供される。僕は作れないので既存のテンプレートを使う人。利用者属性によるヒエラルキーを作り、相互の関係を作ってあげること重要。
3.この世界は、Webブラウザから閲覧できるようになっている。
4.ソーシャル的な仕組みを使い友達登録された人の作品展示場は、自分の展示場とシームレスに移動できる。コメントを残したり、はてなスターつけたり。
例えば、クリエイター友達として繋がっていくことで、その人達のギャラリーが増えていく。つまり、3D空間内をシームレスに移動できるようになる。とても素敵なソーシャルだと思うけど。
そして3Dのテンプレートは、3Dができる人が作っていくことで、その人達のソーシャルコミュニティもできていく。テンプレート展示場もまた3D空間だからだ。
そもそも現状、画像をWebブラウザで閲覧するインターフェースってのは、ちっともワクワクしない。サムネイルを並べてクリックして、ウインドウを閉じる操作は面倒くさい。それは、lightbox.jsも例外ではない。
多くの写真サイトが、わざわざ写真のスライドショー表示を設けている通り、誰も写真の見せ方には満足していないということではないだろうか。
そこを世界観ある3D空間に写真を並べてあげることで、次を見る楽しさを簡単さを提供する。写真のサムネイルを切り替えるには、往々にして面倒なマウス操作が発生するが、3D空間で、ボタンを押しっぱなしに移動してくれたりしたら、そっちの方が簡単だ。
(とにかく3Dのほうが便利だ!って思えることが大事。)
もし画像が楽しく見られるならば、そのままECのショッピングモールにも応用できるってことだ。
というか、カラメルの地図検索、色検索と言った変わりダネ検索の3本目の柱に3D検索をつけたい。3Dの世界を家入社長にお願いして作ってもらったとして、コンテンツは、カラメルチームが選ぶオススメ商品カタログのギャラリー。
Color Me Shop!がもし対応したらショップへの移動がシームレスに移動できるわけだ。リンクのコストをユーザーに感じさせないで移動できるなんて素敵!!
ただし、例えばカラメルで採用する場合に、どうしても解決して欲しいことがあります。
Flash Playerで動くようにしてください!!
じゃないと採用はできないです。何故ならプラグインを普及させる自信がないし、ショップオーナーさんに怒られてしまいます。なによりペパボはMacで動かないとダメなんです。
多くの環境で動くことを重視する楽天もきっと採用しないでしょう。
つまりここを解決しないとECで使われるのは無理ってことです。
ちなみにAdobe MAXに行った人の話を聞いたら、Flash上では物理演算エンジンや3Dのライブラリあたりがホットという話を聞いた。あんまり、うかうかしてられないんじゃないかなと思います。
以前、Macromedia時代には、3DstdioMAXのデータが読み込めるMacromedia DirectorというFlashよりも高機能なソフトウエアがありました。しかし、Shockwaveプラグインが8MBもあって、プラグインもFlashほどは普及していなかったので消えていきました。
つまりFlashと同じMacromediaであっても、ソフトウエアの性能だけではプラグインを普及させることはできなかったってことです。
それに対してFlashは、最終的には動画がキラーとなったと言っても過言ではありません。動画を見るためのプレーヤーとして、多くの人がFlashを許容するようになりました。動画再生性能はShockwaveの方がハイクオリティでいろんなことができましたが、そんなことを知る人はいません。
あと、スクリプトの文法はXMLベースにするか、ecmaスクリプト準拠にするか、どっちかのほうにした方が望ましいですね。そっちの方が、スクリプトを書く人が文法を勉強する必要なく入りやすいですし、XMLベースは、Cold Fusionの例もあり、HTMLを書く人へ浸透力が高いし、ecmaスクリプトはギークの浸透力も高いです。クリエイター向けならXML、ギーク向けならecmaスクリプトにしたほうが良いでしょう。
これは好き嫌いの話ではなく、あくまでサプライヤー向けのマーケティングの話です。
なお、コードを見て思ったのはXMLの場合は、SVGとかSMILあたりを参考にすると良さそうな気がしました。でも整形式で済む程度のシンプルな奴が良いでしょう。海外に売るならSMILとかも大事そうですが、国内ではほとんど知られてないと思うので、どれだけ楽しそうか、敷居が低そうか、ってのが大事でしょうね。strictにするのは、使う人が増えてからで良いと思います。
僕は、スプリュームさんはコダワリを持ったホンモノの技術者集団だと思ったので、あえてWebサービスのプロデューサーであり一エンジニアとして、ホンネを書かせてしまいました。とりあえず重視すべきは、専用ビューワーよりもプラグインの方。プラグインを発想のベースにおいて、プラスアルファの価値を専用ビューワーを使えば提供できますよ、という考え方の方がオススメです。
僕は上記のようなことが実現できるのであれば、セカンドライフよりも可能性を感じています。何より空間リンクは良いと思います。
あと、もし僕が今、PRデモを作るなら、twitterの書き込みを3D表示するようにしますね!
ブロガーミーティングにご一緒させていただきました.
コミュニケーションとしてわいわい大勢で楽しめるのは良いとして,否応なく感情がコミュニケーション相手に伝わってしまうようだとどうでしょう?ということを考えました.
http://www.dlareme.org/2008/02/10/does_the_person_want_sense_of_reality_in_communication_means/