December 22, 2007
最近出たこのエントリーが気になっている。
キャリアパスとプライオリティなく並べたら、そりゃひくだろ。
ホームページを作る人のネタ帳さんでは、職種に対して職能を分解しているが、全部できる人なんていないから。
ただWeb屋が他のIT職種の中でも広範囲なスキルを求められるのは事実だ。
何故かというと、「Webサイト」は以下の内容で構成されるからだ。
・ハイパーリンクをベースにしたアプリケーション的機能(サイトストラクチャとかアーキテクチャとか)
・その中で、訪問者に情報を伝えたり、商品を買いたくなるようなデザイン
・一見さんにも理解してもらえるテキストや画像で構成された情報
Webサイトは、「ツール」と「メディア」の両面が求められる。
他のITのもので「ツール」というと、例えば、ビジネスアプリケーションの場合は、社内での教育の機会やマニュアルで多少はフォロー可能だし、何よりビジネスプロセスにあわせて作るモノだだし、「現場のオバチャン」に使ってもらえるように、などペルソナがはっきりしている。
またWindowsアプリケーションなどでも、「CD-Rを焼くアプリケーション」や「テキストエディタ」など、実現する機能ありきで、ユーザインターフェースや情報設計が最適化されている。
また、「メディア」として見たときには、
雑誌や本は、そのサイズや、「ページのめくり方」というストラクチャの部分は決まっている。つまり、どんなに難しい本でも、本の読み進め方に困る人はいない。
テレビはスイッチを入れて、チャンネルを回すだけだ。
そしてテレビの広告などと言ったものは、サイズや時間の尺が決められている中での勝負と言える。
広告バナーが極めて規格的なのは、広告屋さんは、基本的に「定められた枠」に対して、何を提供していくか?という商売だからだ、と聞いたことがある。
それに対してWebサイトは、誰にでもわかる制約というのはあまりない。
一応、「下線がついてるものはリンク」、「グローバルメニュー」のありかた、2カラム、3カラムのデザインなどデザインパターンとしては定着しているが、そうでないサイトを作ることも簡単にできる。
Webサイトにアクセスする上で、どこでも共通する操作は、「戻るボタン」であるが、情報を前に進むための共通した操作はないため、サイトの構成とは、「迷路の中で、どうやったら前に進められるか?」ということである。
こういった自由度の高すぎる世界で、一見さんにサイト構造を一瞬で理解させ、適切な情報を伝えるためにサイトを構成していく必要がある。
こんなことを同時に考えなくてはいけない仕事は、今までに無かったのでは?!
しいて言えば、「ビジネス」とか、それに近い曖昧な概念なのかな。
と書くとわかりにくいかもしれないけど、「このFlashウゼー」とか「この文字小さすぎて見えない」などを一切思わせないで、センスがよくて、情報もわかりやすくて、商品を買いたくなったり、このWebサイトいいな!って思わせるバランス感が求められるということ。
TV CMは「TV番組の合間に映る」「15秒単位で音と映像で表現が可能」「沢山の人が見るビジネスモデル」に特化して、ルールを最大限に生かす人材が求められる。
さらにTV CMはナショナルクライアントが主体。この人たちは、すでに完成されたブランドをベースに他社との差別化を行っていく。
いわゆる大衆品と呼ばれる商品も多く、商品の性能より商品に付けられた名前やロゴなどに宿るブランドイメージで「売り上げが変わる」
「売り上げが変わる」ということは、そこに予算がついて投資の対象となる。
だから、ここに高いクリエイティビティが求められるので、高い実績を持った人が沢山いるのは、そりゃまぁ当たり前。
Webサイトはどうだろうか?
まず、Webの仕事を2種類に分解してみる。
・既存の大企業の仕事。マスメディア系
と
・Webらしいニッチ型の個人、中小企業系
の2種類だ。
前者は、基本的にTV CMと変わらない。
大手Web制作会社で、広告代理店の取引比率が高いところは、この枠組に属すだろう。
ここはすぐれたスキルを持つデザイナーなどがフルタイムで業務にあたる。(あたれる)
後者は、既存の問屋、代理店構造とは別に、直販をしてみるケースや、もっと気軽な言い方だと、農家の人が、ECを初めて直接販売したり、個人でアクセサリーを売ったり、地元密着のタクシー会社がコーポレートサイトを作ってみたりするケース。
ここはコスト的にも分業している場合ではないので、デザインだけやっていたいです、という人では成り立たない。
そもそもクライアントが「お金が儲かる」という期待や事実に対して、お金をもらえるわけで、Webサイトの条件が、最初に示したとおり、構造、デザイン、コンテンツのバランスから成り立つとしたら、個々のスキルに特化した人材では、Webサイトでは、お金儲けにつながらないので、お金がもらえない、という単純な理屈に落ちる。
というと、Webサイトのデザインは、クオリティが低いのか?という部分になるが、ある意味では正解だろう。何故かというと、上記で示した後者の方は、それが求められていないからだ。
今年行われたAdobeのMAXというイベントで楽天の方が、売れているけどデザインは優れていないショップの事例を出した。そこにあるのは、「すぐれたデザイン」ではなく、「すぐれたコミュニケーション」だ。
売れているショップさんは、すぐれたコミュニケーションデザインを行うことで、お金儲けに繋げている。つまり、Web制作においても、「構造、デザイン、コンテンツ」を通じて、すぐれた「コミュニケーションデザイン」を提供できる人が求めらる。
ナショナルクライアントの場合は、電通などの広告代理店がメディアミックスと称して全体でコミュニケーションデザインを考えているから、Webサイトの役割は部分的ですよね。だから、Webは余ったお金でやってるんじゃないの?という話になるんだと思う。
冒頭に書いた、
2000年頃の2ちゃんねるにも、ほとんど同じようなことを言われていた。
つまり7年経っても、認識が何も変わってないということに愕然とした。
以前は、プロダクションが発達して、個々のスキルに分業特化していくという流れになるだろうと思っていたが、どうも、それともまた違う感じなのではないか?と思うようになってきた。
できれば、WebSigなどを通じて、この辺の混沌を整理できないかな?なんて思っているが、blogだけで勝手に考えて完結してしまうかもしれない。
今日はもうでかけなくてはいけないので、一旦筆を置いて、今後、また違うエントリーで書いていきたいと思う。
(って、また推敲する時間が取れないので、変な文章だったらゴメン!!まだツッコミどころ満載で、脇が甘いと思います。)
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Webの仕事を2種類に分解するなら、
・チラシ
・パンフレット
という方が正確かもしれません。
大企業でもIR情報のようなサイトであれば後者になるからです。
webデザイナーになって、「webデザイナー」という言葉が抽象的すぎると気づきました。
僕のはやとちりかもしれませんが、「下線がついているものはリンク」「グローバルメニューのありかた」「2カラム3カラムのレイアウト」がもう定着しているという考えには、いささか疑問が残ります。何よりも「下線がついていて青ければリンクだと思ってくれるだろう」という考え方は軽率な気がします。
ただ
>・既存の大企業の仕事。マスメディア系
>
>と
>
>・Webらしいニッチ型の個人、中小企業系
こう2分化したとき、後者に携わる人間がそんな垣根の問題を考える余裕が有るのか、無いのかを考えると、これを軽率とするのも、いささか疑問なのですが。
ウェブアクセシビリティや、ユーザビリティなどマーケティング用語を使ってしまうと後者にしか当てはまらないウェブサイトの話しかできないような気がしますね。
駅の構内B倍版ポスターがウェブに自然と配置されるような事態が起こり得るならば、美大生が流れ込んでくることもありえるのではないかと思います。たとえそれがクロスメディアの通り道であったとしてもです。
もしかしたら僕はよくわかってないのかもしれません。ですが、思うところがあったので書き込ませていただきました。
ひそかに何をおっしゃりたいのが論点が見えてないので、的外れなレスだったらごめんなさいね。
>「下線がついていて青ければリンクだと思ってくれるだろう」という考え方は軽率な気がします。
この考え方ですが、確かに、それ自体に100%の認知が得られているかはわかりませんが、かと言ってデザイナーのエゴでリンクの下線を消してしまうよりは遥かにマシだと思っています。
>駅の構内B倍版ポスターがウェブに自然と配置
>されるような事態が起こり得るならば、美大生が
>流れ込んでくることもありえるのではないかと
>思います。
美大卒のWeb制作者も沢山います。
仮にステレオタイプな美大生の価値観を決めたとして、このエントリで触れている「楽天の売れているけどデザインがしょぼいショップ」とは価値観が全然違うと思うんですね。
ただ「何かのメタファを通じて、人に何かを伝える」というのは、美大生の人は長けていると思いますが、ビジュアルデザインのうまい下手を除けば、必ずしも美大を卒業していなくてもできること、だと思います。
特にWebがややこしいという理由が、デザインそのものがユーザーインターフェースであるということです。
だから、ビジュアルが優れすぎると使いにくくなったりするのはありますよね。
そんなことを言うと、知り合いの制作会社の取締役とかに、それはWebデザインとして優れたデザインじゃねーんだよって怒られそうですが、まさしく、楽天のショップが優れたデザインじゃなくても、物は売れるという事実は、Webにとっては何が必要なのか?ということを考えるには良いケーススタディだと思うんですね。