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Webを中心とした、ビジネス&テクノロジーに関する思いつき
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藤川真一について


初代モバツイ開発者
想創社再創業 / KMD博士課程
著書〜100万人から教わったウェブサービスの極意―「モバツイ」開発1268日の知恵と視点 [Kindle版]
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December 27, 2006

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ペパボに転職して一年が経とうとしています。この1年の個人的総括として、前職が主体としていた受託と、ペパボでやっているサービスの違いについての話を書いてみたいと思います。個人的な感想エントリではありますが、似たようなパスをたどる人に向けて、何か参考になればとも思って書いています。

■まずは状況説明
昨年末に退職した前の会社ではWebの受託とCMSのプロダクト販売の業務に関わっていました。Flash開発などを通じてSIerさんやISPと関わり、仕様書の作成やらテストやらで、いわゆる開発の王道について鍛えられた経験もあります。その他、通常のサイト制作、開発案件はもちろん、ちょっと変わった案件やプロトタイプ的な案件を結構やらせてもらっていました。

転職後のpaperboy&co.という会社は、Webのサービスをやっている会社です。コアサービスは、ロリポップを代表とするレンタルサーバー。JUGEMを代表とするコミュニティ系サービスと、僕が所属するColor Me Shop!というECサイトASPのサービスです。

今、ショッピングモールサイトのカラメルを担当しています。開発もやりつつ、マネジメントもしつつ、制作ディレクション的な部分もやりつつという一年で、来年からは、仕事内容はそのままでプロデューサーという役職名になります。

余談ですが前の会社にエンジニアとして転職する前、つまり新卒で入った会社は製造業で、エンジニアをやっていました。この頃、デジハリでWebプロデューサーコースというものに通っていました。そこでメンタル面だけプロデューサーとはなんぞや?という意識があったので、来年からのプロデューサーという肩書きは、結構、感慨深いです。ちなみにQFrontでの渋谷校一期生です。

〜〜今思う、受託とサービスの違い〜〜
■受託のメリット
エンジニアにとっての受託業務とは一言で言うと、「技術を売る仕事」だと思います。

仕様決定に関われれば、責任が取れる範囲で自分の好きなことが結構できます。そして案件毎に解決すべき課題が変わってくるので、いろんなシステムや技術に関われる機会が多いです。

また多数の案件を安定的にこなすために、生産効率の向上やリスク低減のためにフレームワークやオブジェクト指向などの生産技術に強い意識を持てたりして結構、楽しいものです。

■受託のデメリット
制作したWebサイトをビジネスのために管理運用するのは、発注者であるお客様ですので、その人たちのコミット具合であったり、ネットリテラシーによっても案件の進め方が変わってしまったりと、外部要因による仕事の進め方の変動がかなり大きいのが特徴です。

プロであれば、発注者のニーズとコストを逸脱したものを作るのは間違いなので、基本的にはWebサイトの完成度は担当者の熱意や能力に大きく依存します。

もし、Webサイトを良いものにしようとすれば、いかに発注者とうまくやっていくか、施策提案などをやっていき予算を取ってもらうぐらいのコンサル的な関係を作れば良いんですが、残念ながら前職ではそこまでコミットをした案件はありませんでした。(今どうなってるのは知らないのと、こういうことを実現している素敵な制作会社はあります。)

また受託をビジネスとして回して行く以上は、多数の新規案件と継続案件のバランスを取って行くことが必要で、担当レベルとしてはいつまでも同じお客様に関わり続けることができないケースも往々にしてあります。

瞬発力があって、器用な人ほど、いろんなところを表層的に関わって行かざるを得なかったりして、いわゆる器用貧乏の道を辿ることも。

あと今月の売り上げが足りないから、と案件を取ってきて、今月徹夜してください、となりがちなのが社員にとってはデメリットだったりしますね。このところを会社がうまく回せることと、社員が気持ち的にコミットできるか否かが、最終的にその会社に長く居続けられるかという部分になるんじゃないかと思ったりもしています。

■サービスのメリット
サービスはすべてを自分達で作れる、というところが最大のメリットでしょう。
そのサービスでお金儲けすることを前提として、サービスの改善作業にフルタイムに集中できるところが全てだと思います。

この目標があるため、そもそもサービスへの転職理由となった継続的な改善サイクルを回して行きサイトの改善をしていくことができます。そのため、受託では工数的になかなか実現しにくい仕様を作り込むことも可能なのかもしれません。もちろんお客様の利便性向上、しいてはビジネスへの寄与があれば、の話ですが。

■サービスのデメリット
メリットの裏返しなのですが、作業の目的、効果や、費用対効果のようなものを意識して、かつ、そこにコミットできないと、結構単調な作業が多いです。基本は既存のデザインやシステムの改造なので、いつも新しいデザインを作っていたいとか、いつも新しい案件や技術にチャレンジしたい、と思っている人は退屈かもしれません。

日常の作業そのものは、運用フェーズに入ったサイトの、受託でよく嫌がられる「細かい作業」そのもので、文字を変えたり、バナーを作ったり、デザインを調整したりすることに時間を使うことになります。

しかし、これをビジネス目的に落とすと、サイトブランディング、ユーザビリティの向上、SEO対策や広告などという言葉に変わります。

この部分に自分の仕事としてのメリットを見い出せないと結構、仕事はつまらないかもしれません。そのため、うちの部署では、各担当者には必ず自分達がやっていることがビジネス面でのメリットにつながるための数値目標を担当してもらいます。数値目標を前提に施策を考えてもらうことで、自分の仕事の目的を明確化しています。

■まとめると結局....
・受託は、「技術を売る、デザインを売る」
 ・・・・いろいろこなしていきたい。短距離走のイメージ

・サービスは、「ビジネスをそこに作って行く」
・・・一つのサイトを深く突きつめたい。長距離走のイメージ


たまに受託が懐かしくなることは正直言ってあります。新卒の製造業にいたときから受注ベースで製品カスタマイズなどを担当してきた設計開発のエンジニアですから、受託のエンジニアのように短距離走を駆け抜けるためのプログラミング技術や、いつも刺激的かつリスキーなアーキテクトの仕事にコミットしていくことも悪くなくて、特にパートナーと連携して、自社の能力の範囲を超えた仕事に、しかも比較的手離れよく関われるのが受託の良いところですね。

それに対してWebのサービスは、サービスを売る、というビジネスモデルですから、開発やページ制作というものは商品性にとっては結構、間接的な存在です。そのかわりサービスそのものが商品ですので、ブランディングのための企画や機能向上に継続的に関わり合えるビジネスモデルである、ということがポイントです。また、ビジネスは新たなビジネスチャンスを呼ぶので、思いも寄らぬ展開が待っていたりして結構楽しいですよ。

このビジネスモデルってのはとても重要で、ビジネスモデルという言葉自体はお金儲けの方法のことですが、つまるところ僕らの作業コストが何をもってして正当化されるか?というところに直結するのでビジネスモデルは、何ならやってよくて、何はやってはいけないのか、に直結してきます。それがここまで紹介してきたメリット、デメリットにあるんじゃないかと考えています。


ちなみに、来年の4月採用ぐらいを前提に、カラメルの人材募集をする予定です。
内容はディレクター職で、コンテンツ作ったり、企画考えたり、カラメル自体の改善案を出したり、カラメルのブランディングを目標にいろんなことを考え企画し、それをカタチにすべく実行していく役割になります。

なんとなくイメージしているペルソナとしては、今までWeb制作会社でディレクションをやってきて、いろいろ企画をお客さんに出すんだけど、多数の案件で忙殺されちゃって、もう疲れました。もっと一つのWebサイトに深く関わって、サイトを育てていく仕事をしたい〜という人・・・ですね。

来年の3月末ぐらいで今の会社を退職しようかなーなんて思ってる人がいましたら是非。
来年のペパボのWebサイトに求人募集が掲載されると思います。

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