January 28, 2006
東横インが、条例で取り付けが決められている身障者向け設備を、検査後に外したと言う問題で、ここの社長はインタビューで、「年に1人か2人しか来ない上に、健常者には使い勝手が悪い」という弁明をしていた。
ビジネスマンをターゲットにしており、経営的には正しいんだろうが、だからこそ条例という規制があるということをなんら理解していない。こういう話を開き直って、笑いながら弁明する姿は不快である。日本が生きていくだけで精一杯だった、貧しかった時代の発想にしか見えず、経済繁栄している近代国家としてはアウトだと思う。たたき上げの社長が故なのかなぁ。(ホリエモンがリアルビジネスで力を発揮してきたら、こんな感じの不快感を覚えることもあったのかもなぁ。)
日本の宿泊施設という社会インフラという役割において、何も考えずにホテルに行けば、身障者の方が宿泊できる環境が整っていること。そういうインフラを維持できる経済的余力があるというのが先進国のあるべき姿ではないだろうか。
儲かれば社会的弱者のことなど切り捨てて、残り大多数のユーザーだけをターゲットにすれば良いという視点しか見えてこない。接客態度で定評のある東横インだからこそ、本音が見えてしまったショックは大きい。
我々の身の回りにもロングテールという考え方があるが、これは儲かる、儲からないという結果論の前に、理念として幅広い志向や状態のユーザーにどういう形でサービスや情報を提供すると、自社のサービスや埋もれてしまっているコンテンツの効果が最大化される方向に持って行けるのか?を考えることと思っている。(で、それを成功させたアマゾンなどをモデル化したのがWeb2.0)
もちろん、それは自社のビジネスモデルの範囲でいかに広げていくか?という意味で、別に無償奉仕しろとかそういうことではないわけで、そこに企業努力や工夫をして、社会にどう貢献できるか?というのを考えることではないのだろうか。
今回の会見からは、そういう理念みたいなものは全く見えてこず、ただのお金儲けの発想しか見受けられなかった。今まで急成長したのはわかる。でも、ここまで大きくなったんだから、多少は、そういうことも考えろよ!ってのが感想だった。彼からしてみれば、こういう環境作りは、ただの無償奉仕にしか見えないんだろうなぁ。