February 16, 2005
いわゆる実力主義の人事評価は、データセンター保守とか受託開発業務のように「無事平穏に終わった場合が最大の効果」という役割に対する適切な評価はできているのだろうか?
松下電器、職種別賃金制を検討 年収、配属で大きく変動
個人の貢献度が明確にあらわれる職種では、付加価値の高い商品を開発したり、抜群の営業成績をあげたりした社員の給与が増え、成果を上げられなかった場合は減る可能性がある。
開発とか営業とか、何か新しいものを得る職種は給料が上がるチャンスがあり、そうでない職種は、それなりにしか給料が上がらないということでしょうか?
冒頭に書いた受託開発業務のような職種だと、それそのものがどれぐらいチャレンジだったのか?を適切に判断してあげないと、評価もMAX100%が打ち止めなわけで。
つまり、同じ徹夜したとしても、そこにどうチャレンジがあったのか、なかったのかを判断するわけだから、業務に対する適切なリスク判断が伴わなければならない。
しかし、往々にして、そんなリスク判断ができていないからこそデスマーチなどの悲惨な状況がおきていると考えるのが妥当であるわけで、そういう意味では、評価ができないことのほうが多いのではないだろうか?
そうすると最大で成果100%が限界となってしまう。さもすれば減点法になりかねない。
新規のなにがしかを評価するのは大事だが、当たり前の業務を当たり前のようにこなすことの重要性は、往々にしてその人たちがいなくなってから実感することになる。
実力主義という評価方法について、こういった部分も適切に評価されているかどうかはすごく疑問を持つ。
さらにいうと、その人たちの「現在の収入」が、役割に見合ったものであるか否かというのも変数にいれなくてはならない。
あるキャリアに対する給料の理想値が設定してあれば、最終的にたどり着く給与が決まり、そこに対して年齢は無関係だから、年功序列ではないという言い方はできるが、そんなものが決まっている職種は少ないだろうから、実際、この人の給料を今回、何パーセントあげることが、役割と活躍度に対して最適化された変動率なのかを答えられる人がどれだけいるのだろうか?
つまり、同じ貢献度でも、現在の給料とモデルとなるべき到達地点との関係で、一人一人給与の変動率が変わってくるのが普通だと思うわけだが、そんなことまで考えてはいられないだろう。
まぁ松下のように新卒入社を基本とする会社なら不満も出ないかもしれないが、中途入社の場合は、元の給与も含めてバラバラだからきわめて難しい判断が求められるが、はたして、社員へのモチベーション向上を生み出すだけのプランが組み立てられているだろうか?
逆に、定常業務担当の社員満足度の低下をもたらす制度だったとしたら、しいては会社全体の士気の低下ももたらすかもしれず、それならやらない方がマシだったということもあるだろう。