July 17, 2004
青山ブックセンターが潰れてしまった。これで、えふしん家では約20万円/年ほどの出費が減ることであろう。
ABCが潰れたことでアマゾンにその出費が移動することはありえない。ただ、本にお金を使う機会がなくなっただけ、ABCの魅力であるセレクトされた平積みの本との出会いの場がなくなってしまったからだ。20万円/年というのは、この平積みに惹かれた出費のことであって、自ら能動的に求める本など年間2万円にも満たないであろう。そんなに賢い人間ではないから。
アマゾンは欲しい本の名前が決まっていて本屋で見つからないときに利用するものである。つまりプルメディアとしての関わりあいである。ジュンク堂や書泉のような図書館タイプの本屋もプルメディアの総本山というところであろう。必要なときに探しに行くリアルな本屋という意味ではアマゾンに近い。
それに対してABCという存在は、プッシュメディアだった。つまりTVをつけて何か面白い番組はないかなというノリで本と出会いに行く。ジュンクが品揃え重視のビックカメラなら、ABCはセレクトショップなのだ。
ABCに行くこと自体が癒しのユーザー体験だったので、行くこと自体は全く苦にならず、六本木店は深夜の遊び場の一つになっていた。通常なら絶対買わないような本を買ってしまったりするのもここの特徴だ。それがどことなく漂うインテリな雰囲気だったり、活気のある街の空気のなせる技だったのではないか。
確かに出費は減って経済的に節約できるようになるのは間違いないが、それと同時に失ったものも大きすぎる。おそらく代替となる本屋は存在しないだろう。給料が下がった時などの経済シミュレーションをしたりするが、生活レベルを落とすことでもっとも嫌だったのが、欲しい本が買えなくなること…だったが、商品供給元が消滅したことで、ひとまず不安要素は減ってしまった。
今までのレベルで知識や情報を得るためには、自ら能動的に活動しなくてはいけないのだろうか。そもそも、そんな本に対して積極的な人間ではないので、もしなんとかするとすればblogで他の人から教えてもらうぐらいしか手がないのではないかと思っている。
しかしながら、是非、ABCの関係者は志を失わず新しくABCに負けない本屋を作って欲しい。また素晴らしい本との出会いの場を作って欲しいものだ。
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2004/10/10追記
青山ブックセンターは9/29に復活しました。