February 22, 2004
まず前提条件。マンションの支払い金額の安さや設備などは自分達の生活に跳ね返ってきます。
賃貸と分譲の最も大きな違いは、管理費に対する考え方と責任。
賃貸の管理費は、所有権のあるオーナーに対して支払うものなので、それ以上の責任はない。
分譲の管理費は、自分達で使うものなので、お金が足りないと自分達で出さなくてはいけない。
マンションを買うときに支払いプランを提示されますが、その中にある管理費のプランは、その金額がそもそも足りるのか足りないのかは、まったく考えられてない可能性が高いです。
だから管理費が安いからと言って喜ぶのはお門違いだったりします。さらに豪華な設備には必ず保守点検、維持などと言った費用がかかってくるので、不要な設備がついてるのを喜ぶのもお門違いです。結局、マンションを買うときについている、いらないものにお金を出して維持していかないといけないのは自分達なのです。
(駅から離れた、ある新築マンションで、専用バスによる送迎がついているというのがあったのですが、パンフのはじっこをよく見ると、一年後に続けるかどうかは理事会で決めてくださいと書いてあります。当然、維持費、人件費なり、バス会社に対する契約金はみんなで支払わないといけないわけですが、専任の運転手を抱えるほど裕福なんですかねぇ???)
実際、今のマンションに住んでみると管理費なんて全然足りないんですねぇ。正確には、今の生活レベルを維持しようとしたら、今の支払額では無理。だから相当頑張って支出を減らさないと、10年後の修繕積立金がまともに貯まらないという現実があります。さらに、これは100%の収入・・・つまり、全戸の世帯がみんなお金を払い続けるという前提になります。企業のリストラや、年金の問題などでこれが確実に続くという保証もありませんし、収入を増やす方法もありません。
これらの運用を決めるのはマンションの理事会ですが、企業と違うのは、所詮、並列的な立場であること。
今、「あるある大辞典」で嫌われない方法というのをやっていますが、企業という共同体は、上下関係のある関係、すなわちバーチャルな世界の中で、それぞれの役割を演じることで、お金を稼ぐわけですから、この関係を円滑に運営するために必ずしも嫌われるのは悪いことではないと思います。
しかし、マンションのような並列な立場では嫌われるのはちっともよろしくありません。何十年ものローンを払って、肩並べて生きていかなくてはなりませんので、どんな性格の人でも、基本的にはお互いの立場を尊重し、関わりあわないベクトルに向く傾向にあると思います。
ところがマンションの管理、運営とは極めて企業運営的な要素を求められます。つまり、マンションというのは、企業以上に何も共有したくない関係の中で、誰かが共有資産の維持・運営をしないと、現実的に困ってしまうという矛盾した共同体になってしまうわけです。
支出を減らすからには、何かを捨てなくてはいけません。この判断、決定が非常に難しい。何故なら、マンションでは誰もお互いの責任を被れないからです。極めて民主的な決定が必要です。もっと乱暴に言うと、誰にも責任を負わせないためのコンセンサスを取る工程が不可欠だということ。この行為は、とても時間がかかります。とりわけ、となりの関係が薄い近代の集合住宅では、その問題は重大で、おそらくいろんなマンションで抱えている問題じゃないでしょうか?
でも、実際に修繕の見積書が出てきた時に、一世帯100万円出してくださいとならないようにしなくてはいけないので、無関心同士の共同体というジレンマをなんとかごまかしつつ、問題を解決していかなくてはならないわけですね。
IWGPのマコトみたいに、結局のところ、こういうことに気がついた人が面倒くさいことをやらないと話進まないんですよね・・・。