February 08, 2004
レガシーなNetscape4.xをどうするか?という話はWeb制作の会社では頭の痛い問題であろう。とはいえ、すでにネスケ4にこだわる人は少ないので、ちゃんとお客さんと話をすることで対応を避けられたりするわけだが、それでも、未だにネスケ4に対応しなくてはいけないケースは以下のパターンが考えられる。
・担当者のコダワリ(IT担当者が、その会社の中で一番詳しい人というのはままあること。)
・企業内でIEが使用禁止
・漠然とした不安
どれもこれも、かつてのネスケが王者だったことからくるブランドに起因しているものである。別にネスケ4がセキュアなブラウザというわけでもないし、こだわるほど完成度の高いブラウザでもないのだが、なんとなくIEの次にネスケ4がいるというのは、特に日本人には染み付いていることであろう。
ネスケの輝かしい栄光の過去を壊さんばかりのネスケの最新事情はこんなことになってるそうだ。
>AOLが最後のNetscapeブラウザ担当社員を解雇した
>Nestcapeの名を冠したIEランチャーをAOLが開発中
後者のIEランチャーって、IEをベースに画面デザインを変え、タブブラウザとかにしてデスクトップに常駐するネスケってことですかい?それとも、IEに組み込むネスケ?ランチャーの定義がよくわからんですが、いやーそれは、さすがにマズイよなぁ。
Netscapeの中身は、今ではMozillaという名前で別のプロダクト、別組織で動いています。AOLをクビになったネスケ担当者もMozillaの開発に参加することで決着するそうなのだが、すっかりMozillaは日本ではマイナーな存在である。ネスケ6の頃のあまりのデキの悪さに、多くのユーザーからそっぽを向かれたところで、すっかりMozillaの存在は忘れられている。ネスケ7は割と良いブラウザになったが後の祭りという状態になっている。
ネスケ4には対応してもネスケ6以降は捨てても誰も文句を言わないという現状だ。つまり、ネスケ4はレガシーなPCで使わざるを得ないユーザーがいるからという理屈があるが、ネスケ6以降が動くマシンでは、あえてIEを使わず趣味で使っているので(つまりITリテラシーが高い人)、必ずしも、彼らにあわせる必要はないという論理である。
ちなみにこのサイトにアクセスいただいている方々のブラウザ分布はこんな感じである。
2004年1月のアクセス履歴を示す。大体、数ヶ月の範囲では、分布は変わらないので、複数の月を集計はしなくても問題ないと思います。なお、このサイトはgoogleやYahooからのアクセスが多く、他のBlogから来ていただけるユーザーは、決して多くないことを明記しておく。つまり、blogに興味のあるIT意識の高い人々だけのWebではなく、割と偏りの少ないWebサイトでは?という想定ができる。ここへの検索キーワード上位は、「森三中」「関口房朗」「fedoracore」「メグミルク」なので、必ずしも、このサイトメインの話題であるコンピューターへの意識が高い方々がメインユーザーではないが、Linux好きも検索エンジン経由でやってきていただいているという状況だと思います。
シェアは、IEが90%。その中の構成は90%のうち「IE6」が77%、 「IE5.5」が4.8% 、「IE5.0」が1.88%,「IE5.01」が1.47%である。
(IE5.0はセキュリティホールがまずくないか?最低でもIE5.01SP2には上げておいた方が良いですぞ。)
次に、Netscapeが4.58% 構成として、「Netscape6」が2.19% ,「 NN7.1」が1.36%、「NN4.x」は全部足しても1%に満たない。
そして、Mozillaは4.31%で、そのうち3%が「Mozilla1.5」である。
最後にOperaが2.72%
OSは、Windowsが92%で、そのうちXPと2000で75%をしめる。
マックは6%、Linuxが1%、その他、BSDやSolarisなどのユーザーが少々。
~整理(追記)~ こちらに従い、もし40人クラスだったら。
このクラスでは、35人がIEを使っています。そのうち30人が「IE6」で、2人が「IE5.5」、「IE5.0」と「IE5.01」が1人ずつです。残り1人がMacのIEを使っています。
2人がNetscapeを使っています。同様に2人がMozillaを使っています。
最後にOperaユーザーが1人います。
OSは、37人がWindowsです。そのうち、19人がXP、11人がWin2000、4人がWin98、2人がMeを使っています。
2人がMacを使っています。残り1人がUnixを使っています。
~/整理(追記)~
このデータから推測するに、限られた開発工数と、実現したい機能性、Webサイトの対象とするユーザーなどの関係で、重視しなくてはいけないものと、必ずしもそうでもなさそうなブラウザを想定するとこんなイメージである。
・Windows2000、XP、IE6というターゲットだけで、全体の8割はカバーできるハズ。
・Macは、シェアなりの数値が現れているので無視をするなら、それに相応する機能を実現したいとき。
しかし、Macユーザーは特殊な業種に従事している人も多いため、商品によっては、このユーザー層を捨てるのは得策ではない。でもMac対応はターゲットブラウザの選定が難しい。
・ネスケ4よりネスケ6の方が多いので、ネスケ6を捨てるなら数の論理ではネスケ4も不要。
でも、僕の中ではブラウザ対応の事情が変わりつつある。
Mozillaには、Web開発という名前でJavaScriptのデバッグコンソールがついている。Mozillaユーザーにはいわずもがな、これがかなり便利なのだ。IEのJavaScriptのデバッグメッセージは、いったい何が原因でエラーが出ているのかわかりにくいのに対して、Mozillaのそれはすぐエラーの原因がわかるようになっている。
IE側にもスクリプトデバッガというツールがあって、それを使えばJavaScriptのデバッグができるのだが、それよりもMozillaの方が使いやすい。この辺の機能はブラウザに統合されているに越したことはない。
つまり、JavaScriptに限って言えばIEだけに対応するよりも、Mozillaでも動くものを作ったほうが開発効率が高いということが言える。
単純なシェアの問題ではなく、ブラウザの品質という面で、Mozillaに対応したくなったというのはなかなか面白い。ネスケ4をやめたい理由が、IEに比べて品質が劣るからという理由だったのにたいして、今ではIEよりMozillaの方が優れているという解釈は、時代の変化を感じる。
実際、CSSが絡んで、Divやらテーブルタグの閉じ忘れがあったときに、IEでは表示されないのに、Mozillaでは表示できるという現象も経験している。ネスケ4のころは、IEよりネスケ4の方がタグ解釈が厳しかったのだが、今ではMozillaの方が優秀なときもあるのは、ちょっとびっくりした。(別にタグが間違ってても表示されることが良いわけではないが、間違いを汲み取ってレンダリングができることは、ソフトウエアとして優秀なレンダリングエンジンを積んでいるという解釈である。)
MSも独占的シェアを背景にブラウザ開発への興味を失っていくなか、ブラウザの進歩は中途半端に止まりつつある。別にややこしいスクリプトが書けることが良いこととは思わないが、混沌から安定に移るのは技術の進化という観点からすると決して良いことではない。ここは今一度、Mozillaには頑張って欲しいものだ。