January 17, 2004
WindowsXPHomeのサポートが年末で終わるらしい。Homeのサポートは終了し、以降はProfessional以上が有償サポートの扱いでサポートが行われるらしい。
このサポートという仕組みががなかなか不思議なもので、一度も、マイクロソフトに問い合わせたことなんかないのに、サポートの期間が終了すると一斉にサポート対象の新しいOSに買い換えだす。
確かにセキュリティアップデートの提供が行われない可能性が高いわけだが、実際のところ社会に多大な影響を与えるセキュリティ不具合に対してはパッチが出ることが多い。
ソフトウエアがビジネスとして動くための2つのロジックが存在する。
1.誰しも最終的に誰に責任をなすりつけられるか?というのが重要であり、金をケチってサポートの終わったOSを使い続け、何か問題が起きたら責任は自分になるので買い換える。大手を振ってMSが悪いと言いつづけるためのチケット。
2.古いOSのサポートは手間が大変だし、ハードの性能も低いので、MSのサポート終了というイベントをきっかけに新しいOSに買い換えて、最新のテクノロジで管理を楽にしたいという野望
こういうのを正当化するためにTCO (Total Cost of Ownership)という言葉が存在する。
現実的に今更NTのセキュリティアップデートをやるのは苦痛なので、自分の残業時間のために新しいシステムを入れ替えたいとは僕自身も思うので、どれもこれも真実であり正しいと思う。
しかし、謎なのは、このロジックだとLinuxなんて絶対に買えないハズだ。何せ、誰にも責任を押し付けられないし、全ての人が、なんでも解決できるだけの知識があるわけでもない。導入コストは安いが、その後のコストが高いというMS寄りの調査会社の発表も、考え方によっては、まんざら嘘でもない。
Linuxを企業のビジネス(責任の所在をはっきりさせる)で使うためには、泥を被る役が必要になる。これが富士通やIBMがLinuxを売るというビジネスの価値になる。その場合、果たしてこれがWinのサーバーなどと比べてトータルコストが安いのか高いのかは、僕はユーザーではないので知らない。
本来は個々の部品が自己責任の集まりであるLinuxも、こういうビジネスロジックを基本として変化する。Redhatは、メイン製品をEnterpriseLinuxという企業向けの更新サイクルおよびサポートが比較的長い製品にシフトし、最新版は、保証なしという扱いにグレードダウンしFedoraCoreとして分家した。
これはサポートというのが、限りなく虚像だったとしても、現実の責任の所在を求める中では正しい流れだ。Linuxは無料でも、責任の所在に金を出すというのがソフトウエアビジネスのサポートという本質であろう。