January 04, 2004
EC関係の権利化済み特許 第三回目
NECによる権利化済み特許の紹介。シングルサインオン、EC決済の仲介会社を考えてる人は要チェック。
【特許番号】特許第3399442号(P3399442)
【発行日】平成15年4月21日(2003.4.21)
【発明の名称】電子商取引 システム及び電子商取引 方法
【氏名又は名称】日本電気株式会社
【出願日】平成12年5月15日(2000.5.15)
【公開日】平成13年11月22日(2001.11.22)
【F-shin解釈】
カード会社または、第三者機関の仲介によりECの決済を代行する会社があるとする。ここへは、お客さんが会員登録しており、登録情報として、個人情報、商品の配送先、決済したいECサイトをあらかじめ登録しておく。クレジットカード会社であれば、この前提として発行されたクレジットカードをお客さんが所有することになる。(カード決済を仲介する会社であれば、会員番号なるものが発行される。)
ECサイトは、あらかじめ、この決済会社に加盟店登録しておくことが必要。
お客さんが、ECサイトで購入する際に、クレジットカード番号と個人を識別するID,パスワードなど最低限の情報だけで注文処理が完了することができる。
ECサイトは、決済会社に対しクレジットカード番号と商品の価格をひっくるめて送信すると、与信処理が行われ、ECサイトは決済会社からOKをもらう際に、お客さんへの住所を取得でき、商品を配送することができる。この処理の際にお客さんにメールが飛ぶので、いたずらで購入されたとしても購入処理を阻止することができる。
ECサイトと決済会社間の通信は、インターネット以外の通信手段で行われるので、基本的に顧客情報が漏洩することがない。
お客さんは事前に決済可能なECサイトを登録済みなので、仮にクレジットカード番号がインターネット上に漏洩したとしても購入できる店を知らないと購入処理が行われることはない。このクレジットカードはEC決済専用番号というモデルにすることで、決して汎用的なクレジットカードではないと考えることが可能。
決済可能な金額も、お客さんの方でフレキシブルに設定可能だと、いたずらで高額な商品を買われることはないし、そもそも配送先情報は事前に登録済みなので、行き先は一定である。
本特許は、決済方法および決済システムとしての特許である。
【F-shin考察】
ポイントは良くも悪くも、ユーザーは、あらかじめ決済したいECサイトを仲介会社に登録しておく必要があるのと、ECサイトは決済会社とインターネット以外の通信手段を設けなくてはいけないことだ。
思い起こせばシングルサインオンで、マイクロソフトウォレットのような仕組みが、このノリではないのだろうか?決済可能なECサイトが中央集権的に管理されるというのは、シングルサインオンと同義かと思うのだが、これは拡大解釈であろうか?ただ、大企業の考えるビジネスの仕組みとしては、まっとうな発想だと思われる。Felicaのような、使いたいと思える決済インフラがあれば面白そうだ。
この特許は、インターネット以外の通信路で、ECサイトと決済会社が通信するところにミソがあるので、今現在、ECサイトの作り方で行っているようなECサイトのバックエンドと決済会社のサーバー間をインターネットで繋ぐ仕組みよりは一段ややこしい。
インターネットでは今更、権利行使は不可能な仕組みかもしれないが、決済可能な会社を事前登録するなどの連携であれば、ある囲い込みの枠の中でなら有効かもしれない。昨日同様、i-modeの公式サイトや、デジタルTVのショッピングなどでならば可能な仕組みだと言えよう。
ここ3日間での権利済み特許を見ていると、EC決済を信頼性の高い形で実現しようとしたらECサイトと決済会社が密な連携を取ることが求められる。これはコスト、手間的に現実的にはありえないモデルである。
本来、特許というものは今までの不便を、エレガント、シンプルな解決方法で解決するところに新規性やビジネスメリットというものが出てくるものだが、今のところ、そういう仕組みは見つけられない。あくまでも、インターネットの状況が変わった場合や、新規事業で大きな花火を打ち上げたときに有効化するかもしれないという範疇にとどまっている。(つまり、前提条件の積み上げが欠かせない特許であるということ。)
【注意】このエントリに対し、正確な情報が知りたいのであれば、特許電子図書館から検索してください。この記述情報は私の主観で記述されているため正確性は保証いたしかねますのでご了承ください。