September 16, 2003
世の中には、とりあえず2種類のベクトルを持った人間がいる。
1.目的意識が高く、いろんな提案をできる人
2.受動的に、人から言われたことだけをする人
一見、1.の方が優れた人材で、2.の方は排除すべき人材のように思える。しかしながら、必ずしもそうとはいえない。
1.の良い点:いろんなことに気がつく。最新の技術やトレンドを自分で探してくれる。前向きに独自の仕事をやってくれる。
2.の良い点:ルーチンワークが得意。定型作業をきっちりやる。
1.の悪い点:勝手に仕事を進めることが多い。上司の言うことは間違っていると思っている。既存の資産やチームワークを大事にしないので統制が取れない。自分の感覚で話を進め周りを地獄に陥れがち。
2.の悪い点:元々あった不具合などを修正することなく仕事を進める。意欲が少ないので凡ミスが多い。言わないと期待することは何もしない。
きっと企業には両方のタイプの人間が必要で、両方をうまく動かしていくことが必要なのだろう。
しかしながら時に、それぞれの悪いところが表にあらわれたりする。おおむね時間のないプロジェクトでギリギリの局面だったりするときに起きるからタチが悪い。
ちなみに、1.の人が従来の人員に圧倒的に多いのが、今の職場なのだが、これ、結構、致命的かもなと最近思うようになりました。つまり、組織として成り立たないのです。いつまで経っても文化祭のノリなのです。その結果、中間管理職たる、ディレクターや、工程の狭間に立つ設計者などが、疲れてしまって、会社をやめてしまうのです。
これは、1.を調整してくれる役回りのプロがいないんでしょうな。
ベンチャーが、本当に数人とか10人でよかった時代は、きっとイケイケ君達の組織でよかったんだと思う。人が少ないときは、本当に、一人一人の踏ん張りだけが会社の力で、それ自体は、まだまだ組織じゃないから。でも、組織化してきて、工程が生まれ、各工程間にバッファや、調整が必要になり、工程間のロスが、コストや納期に対し大きな影響を与えるようになると、とたんに問題が表面化する。最終的には、1.の人々のエゴ(=正義、情熱)によって、調整役が押しつぶされてしまうのだ。
これを幸せな悩みととるか重大な危機と取るかは、僕も判断しかねるところがある。1.のような人たちをうまく転がしてこそのディレクションだと思うので、端的に言えば調整役の力不足に過ぎないとも言える。高橋がなりも、クリエイターじゃないから成功したと言っているのは、人の見る目だけじゃなくて、人転がし能力が優れていたからだろう。
しかしながら、実際に、貴重な人材がやめていき、結果、引継ぎによる最強に無駄なオーバーヘッドが生まれているのだから、単純に個々の問題で片付けて良い問題ではないと思う。また、経営レベルでは、本当はたまらん問題だと思うのだが、これがまた、やめる人の愚痴は、上の人には伝わらなかったりするのが、微妙な話と言えよう。
ちなみに、えふしんは、1.も悩みのタネだが、直接、自分に影響があるのは2.の人々。結構、辛いですわ。信用できないから緊張感もあるのだが、いろんな意味で、フォローに回らなくては、品質に影響してしまったりして、その分、つまらない仕事になってしまうのは確か。なんかこの辺、バランス取れた人って、あんまり多くないんだよね。というかバランス取れてる人は、賢いので淡々と仕事してるだけだったりして。ある意味、孤立しちゃってるよなー。